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2017年10月27日 (金)

村上淳一氏を巡る雑感

 私は、故村上淳一氏の良い読者ではない。精々、つまみ食い程度。したがって、以下は思いつくままをつれづれに書いてみる。

 村上氏は日本学士院会員なので、そちらのサイトに村上氏の業績紹介がある。

物故会員個人情報 | 日本学士院

そこに、「主要な著書・論文」という欄があり、12点列挙されていた(物故会員は不掲載らしい)。下記。

1. 『近代法の形成』、単著、昭和54年1月、岩波書店
2. 『ゲルマン法史における自由と誠実』、単著、昭和55年2月、東京大学出版会
3. 『ドイツ市民法史 』、単著、昭和60年1月、東京大学出版会
4. 『ドイツ現代法の基層』、単著、平成2年9月、東京大学出版会
5. 『仮想の近代―西洋的理性とポストモダン』、単著、平成4年10月、東京大学出版会
6. 『現代法の透視図』、単著、平成8年4月、東京大学出版会
7. 『システムと自己観察―フィクションとしての「法」』、単著、平成12年6月、東京大学出版会
8. イェーリング『権利のための闘争』、単独訳、昭和57年10月、岩波書店
9.ルーマン『社会の教育システム』、単独訳、平成16年9月、東京大学出版会
10. Einfuhrung in die Grundlagen des japanischen Rechts, 1974 (Wissenschaftliche Buchgesellschaft)
11. Zur Geschichte des Begriffs >Privatautonomie<, 1986, Festschrift fur Wolfram Muller-Freienfels (Nomos)
12. Murakami/Marutschke/Riesenhuber(Hrsg.), Globalisierung und Recht, 2007, (De Gruyter)

 この中で、古典の範疇に入るのは、
1.『近代法の形成』
だろう。現在でも繰り返し読まれている(法学徒にだけだが)。私も書評してみようかなぁと、途中まで読んで身辺多忙でpending中。なかなか進まなくてフリーズした(読了する意欲はある)。

 次にあげるべきは、このリストには含まれていないが、8. イェーリング『権利のための闘争』の翻訳上梓に際してまとめた、岩波セミナーブックス中の、
 村上淳一著『「権利のための闘争」を読む』 (1983年) 、岩波書店
に指を折る。ドイツ法史学の泰斗として本領を遺憾なく発揮されている。以上名著2点。

 私が大好きなのは、
5. 『仮想の近代』、平成4年10月
だ。西欧思想史にご関心があるなら、読まれたほうがいい。面白いです。この本に関する雑感は弊ブログにも記事化した。

 あと、私が時折読み返すエッセイは、

村上淳一「ヨーロッパ近代法の諸類型 ― 英・仏・独における「国家と社会」」
 所収:平井宜雄編著『社会科学への招待 法律学』昭和54年、日本評論社
比較国制史の、優れた見通しの良い小品。これも国制史に関心があるなら読むべき。

 私が読めたのはこの程度。村上氏は、論文も多数あるので、弟子筋による、論文集、あるいは著作集がそう遠くないうちに出されるだろうことを大いに期待して待とう。

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