前方後円墳は、どっちが「前」?〔20190707追記〕
文字通り、「方」(四角形)が手前で、「円」が奥だと思っていた。
ところが、この「前方後円墳」の命名は、近代の学術用語ではないということをつい最近知った。
命名は、江戸後期の国学者、蒲生君平(1768-1813/明和 5-文化10)が、その著『山陵志』(1808年)で、宮車模倣説を唱えたことが始まりらしい。円丘を車蓋(しゃがい)に,方丘を轅(ながえ)に見たてた、という。簡単に言うと「円」が天皇の乗る部分、「方」が牛や馬が引く部分。
※1.『山陵志』に関しては、下記が詳しい。
蒲生君平「山陵志」 | 玉川大学教育博物館 館蔵資料(デジタルアーカイブ)
※2.『山陵志』の原本であれば、NDL(国立国会図書館)がPDFで2タイトル公開している。どちらも和本、漢文。ともに刊行年不明なのは惜しまれるが、それを除けば善本で、電子ファイルでも十分読める。
①山陵志 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
②山陵志 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
蒲生は見た目のフィーリングで決めただけだろうから、近代アカデミズムの実証性の裏付けがある訳ではない。これでは根拠薄弱では?と思ったが、この墳墓の形成からすると、棺を埋める円部がはじめてにできて、それを運び入れる通路みたいなものが方部らしいので、まあ結果オーライと言う感じで、よいそうです。私は、中国の伝統的宇宙観である「天円地方」(天は円く、地は四角)と関係があると思っていたが、そうでもないらしい。まあ、よかった、よかった。
Wikipedia様よりお借りしました。
※下記の弊記事も参照。
古墳は《お墓》ではない?(1)
古墳は《お墓》ではない?(2)
古墳は《お墓》ではない?(3/結)
奈良朝びとの古墳破壊とパーセプション・ギャップ
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