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2017年12月30日 (土)

北海道のマンモスはなぜ絶滅したか?

 大相撲の初場所は真冬に行われます。某国営放送の中継をみると解説している親方は室内とはいえ大抵半袖シャツ姿です。周囲に体のサイズが大きい方がいれば気付くと思いますが、彼らは大抵汗っかきで、夏場なら常時ハンカチやタオルを握りしめています。それはなぜでしょうか?

 今から1万年以上前に最後の氷河期がおわりましたが、その氷期に、日本列島は2回ばかりユーラシア大陸と陸続きになりました。現在よりも海面が最大100mも低下してオホーツク海あたりが干上がってしまったからです。その陸橋をわたってシベリアあたりの大型動物が北海道にやってきました。マンモスが間違いなくいたかどうかは実は確定できないのですが、マンモスと一緒に移動するオオツノジカとかヘラジカが来ていたのは間違いなさそうです。ナウマンゾウもいました。

 しかし、やがて氷河期が終了し、地球が温暖化します。日本列島の縄文時代ですね。この自然環境変化のため、列島の生態系は全く様変わりとなりました。東日本は針葉樹林からブナ、ナラの落葉広葉樹林へ、西日本はシイなどの照葉樹林へ。大型動物は絶滅し、敏捷なニホンシカやイノシシが多くなります。

 近年、見直されることが多い縄文時代ですが、縄文人が堅果類(いわゆるナッツ類)を主食にできたのはこの生態学変動のおかげです。三内丸山遺跡が典型的ですね。

 さて、なぜ気温が上昇すると大型哺乳動物は絶滅してしまうのでしょうか。これは体のサイズと体温の関係です。

 数学の相似の考えでいうと、ある立体の体積と表面積の関係は、その立体の長さの立方と平方の比になります。体の一つの箇所の長さをacmとすると、面積は、体積はで変化します。生物の体はほぼ水分なので、体重と体積は等しいとみなしてもよい。また、哺乳動物が暑い時、体温を一定に保ちたいなら体表面から余分な熱を発散させますが、その発散量は空気と接触している体表面に比例します。そして、動物のボディを動かす熱量は筋肉量(体重)に比例して大きくなるとなると考えられます。すると、

 体表面積/体重 =  a²/a³ = 1/a

 つまり体長acm増えるたびに、体重当たりの表面積は1/aのペースで縮小してしまいます。体のサイズが大きいほうが、体表面から熱が逃げにくいので寒冷な気候なら適応しやすいですが、温暖化してくると、熱が逃げてくれないので体温が上がってしまう危険があります。オオツノジカも(仮にいたとして)北海道のマンモスも、温暖化した日本列島では耐え切れなくなるということになりそうです。

 太り気味の人が暑がりなのも、発熱量が多いわりに、表面積が少ないので、その分たくさん汗をかかないといけない、ということになるのでしょう。

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