芥川龍之介「羅生門」大正4年
芥川龍之介「羅生門」大正4年、を読みました。
※See Akutagawa Ryunosuke "Rashomon" Taisho 4 years (1915): 本に溺れたい
芥川龍之介 羅生門(青空文庫)
そこで、流通している解釈をネット上で探索すると、この小説の主題は、
1)人間のエゴイズムについて
2)生きるために、罪を犯すことは許されるか
3)人間における「悪」とはなにか(「悪」は相対的か)
とか、書いてありました。1)と2)は、「自分が生きるために、他者に悪をなすことは許されるか」ということでは、結局、同じことのようです。3)も、善悪は、人間を取り巻く状況と相対的なものである、とみなせば、同類と考えられます。
私は、実質的に初めて読みましたが、元気が出ましたし、励まされました。単純に、私自身が下人の惨めさに共感できたからですし、下人の「悪に生きる」という決断と行動が放つ「強さ」に魅かれたからです。下人の「再生」から、カタルシスを得ることができた、言うことなのでしょう。今の私には、これが一番自然な読み方のようです。
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