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2018年8月 1日 (水)

創発への二つのアプローチ(Two approaches to emergence)

 創発(emergence)とは、あるシステムの振舞いが、そのシステムを構成する要素の規則的で、単純な振舞いの総計からは、論理的に構成できないとき、その、システムの振舞いをいいます。

 私は、創発を考えるに際して、二つの有力なアプローチがあると思っています。それが「進化論」と「弁証法」です。

1)進化論(evolution theory)
 W.ジェームズは、進化論の理論的本質を、「変異 mutation」と「選択 selection」という二つの変化が互いに関連がないこと、すなわち、ダーウィニズムを、自然に起こっている異なる二種の変化を分離したままでつなげた理論なのだと理解しました。

2)弁証法(dialectic)
 プラグマティズムの父であり、最高の理論家パースは、「たとえ奇妙な衣装はつけていても、私の哲学はヘーゲル哲学の復活である」と述べています。私も、まだよくわかっていないのですが、パースは、弁証法を時間発展する系(System)の振舞いを記述する方法論として重視していたと思われます。また、J.デューイは、青年時代にヘーゲル主義者でした。

 「進化論」にしろ「弁証法」にしろ、プラグマティズムと深い理論的呼応があることは予想できます。というより、プラグマティズムを媒介することで、「進化論」と「弁証法」を理論的に繋げてみることができそうです。またそれは、現代のシステム理論にとり、重要なブレークスルーになるのではないか、というのが私の今のところの予想です。

〔参照〕弊記事
1.  パース(Charles Sanders Peirce)のヘーゲル評(1)
2.  ダーウィン進化論の本質(The essence of Darwinism)

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