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2019年8月31日 (土)

アマゾン熱帯雨林はO2を純生産していない(南米アマゾン熱帯雨林火災〔2〕)

 さて、一つ前の記事でも申し上げましたように、アマゾンの熱帯雨林が「地球の肺」とか、「地球の酸素の20%を生産」とかいった表現は、正確ではありません。そこで簡単な謎解きを。

 高校の理科(化学や生物)で習う《光合成》を思い出してみましょう。植物は、日中、太陽光のエネルギーを使い、それに大気から CO2 と土中から H2O を調達して、炭水化物(主にブドウ糖 C6H12O6)とO2 を生産する、ということでした。それが以下の式です。

CO2 + 2H2O → (CH2O) + H2O + O2

 でこの式を見ると、CO2 分子1個に、O2 分子が1個対応しています。

 一方、地球上の大気の組成は、O2 が21%、CO2 が0.039%です(2012年値、理科年表)。もし、アマゾン熱帯雨林だけで、大気中の酸素を生産しようにも、その原料となる二酸化炭素が圧倒的に不足していますよね。したがいまして、「アマゾンの熱低雨林が地球の酸素の20%を生産」というキャッチフレーズは明らかに間違いです。

 ここから以降は、「アマゾンは地球の酸素の20%を生産」は誤り | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
に詳細な解説がありますので、ご参照ください。

 一応、この記事のポイントを箇条書きに列挙しておきます。

①陸上で生産される酸素に限れば、アマゾンの熱帯雨林の面積を考慮すると、16%とみなせる。
②海洋プランクトン(植物性プランクトン)の寄与を考慮すれば、9%、控えめにみれば6%。
③樹木(森林)の呼吸作用、つまり酸素の消費者の面を考えれば、生産した酸素の半分は呼吸作用に消費している。
④ではその残りの酸素がnetの酸素生産量かといえば、熱帯雨林が生み出す死んだ有機物を分解するのに酸素を消費するので差引ゼロ。すなわち、アマゾンに限らず、生物群系の酸素濃度への貢献は、差引ゼロ。
⑤現代の生態系では、酸素の生産と消費は釣り合っていて、大気中の酸素濃度は変化はないとみなせる。
⑥いまの地球上の豊富な酸素のストックは、せっせと酸素を生産した海洋性植物プランクトンが有機物として分解される前に、海底にとじこめられて残されたものが、数十億年にわたり蓄積された地質学的スケールでの遺産であり、現在進行中の光合成の影響はほどんどない。
⓻むしろ、アマゾン熱帯雨林は、CO2 の大気中からの吸収、固定化にその意義があり、温暖化や気候変動の緩和に貢献している地球レベルのエアコンである。
⑧また、生物多様性の保存に巨大な貢献をしている。

 地球温暖化に関しては、化石燃料(石炭・石油)の莫大な消費によるCO2 の排出が、過去のCO2 固定化の貯金を吐き出している風の批判がよくあります。

 しかし、そんな間接的なことをグダグダ言う前に、ガソリン内燃機関(代表はマイカー)の熱効率がMAXでも、45%前後だという事実を直視したほうが良いと思います。(参照 自動車は、ガソリンのパワーの60%を大気中へ捨てている: 本に溺れたい

 国連統計によれば、2010年の自動車保有台数は、世界人口69億人に対して10億台です(6.9人に1台)。今後、中進国のマイカー普及が本格的になれば、総保有台数は20億台になる可能性もあるでしょう。

 人類が動力を得る際、まず熱を発生させてそれを運動に変換するという技術の基本コンセプトは、ワットの蒸気機関改良以来、200年間基本的に変更はありません。その最先端に立つ、日本の普通乗用車の最高熱効率でさえ、約45%です。1リットル(1000cc)のガソリンを燃焼させて、その発生熱量のうち、550cc相当の熱を大気中へ直接垂れ流しているのが21世紀の人類です。この事実を前にすれば、地球温暖化の主犯は、人類の内燃機関使用であると思い至らないのが私には不思議でなりません。そして、この問題は、テクノロジー幻想で乗り越えられません。それは、植物の光合成においてさえ、太陽光エネルギー使用効率は40%台という近年の研究成果を見ればわかります。

 大地で生きるということは、エネルギーや熱をどうしても散逸してしまうのが自然の理法なのです。もし、それを、「テクノロジー」や「イノベーション」という人類の叡智で克服できると主張するなら、「永久機関」や「魔法」、「シンギュラリティの到来」を信じる、《カルト》と同一の心性に他なりません。

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