鹿児島駅8時38分発 わが心の集団就職列車
なんとはなしに、あるテレビドキュメンタリーをyoutubeで見ました。
1999年3月頃の放送、といいますから、この制作年代がすでに今から20年も前になります。その時点から、40年前の話です。1950年代後半、「金の卵」と呼ばれた、中学卒業と同時に大都市を目指す集団就職の模様を、鹿児島県庁が広報用に記録映画として制作していました。その映画を元に、後日談として作成されたのがこのテレビ・ドキュメンタリーです。
鹿児島駅8時38分発 わが心の集団就職列車 - YouTube
※上記の元となった記録映画がYouTube上に既に投稿されていました。(2020年2月27日、19:20追記)
就職一年生(昭和34年制作) - YouTube
平成天皇となる明仁親王・正田美智子妃の結婚が、1959(昭和34)年。1960年には、60年安保。三井三池炭鉱争議。池田内閣の所得倍増計画。
池田勇人は所得倍増をぶち上げましたが、真面目にそれを信じていた政治家も経済学者も実はいませんでした。池田のブレーンだった下村治を除いて。皆、眉に唾して池田の話を聞いていたのです。
従いまして、日本全体で工業部門に向けて、労働への強烈な超過需要が発生していたわけではありません。むしろ、フィルムにもありましたように、各地方では、若年層の過剰人口があり、その解消(捌け口)として県庁が音頭を取って積極的に地方から都会へ15歳の少年少女を送り出していました。
しかし、それにしても、薩摩は「ご一新」を実現させた実行部隊で、そのリーダーたちは、(江戸、改め)東京で「新政府」の顕官に登りつめているのに、それを送り出した故地は、最低レベルの県民所得と行き場をなくした若者で溢れたまま。これを地元民は、不満(不思議?)に思わないのか、とそのことが改めて不思議です。
※本記事の続きがあります。
密貿易と「開国」、そして「維新」: 本に溺れたい
| 固定リンク
「昭和」カテゴリの記事
- 2022年はインフレ元年:コストインフレの半世紀へ/ 2022: The First Year of Inflation: Toward a Half Century of Cost Inflation(2021.12.31)
- 懺悔と免責/ Repentance and Immunity(2021.12.30)
- 佐野英二郎『バスラーの白い空から』1992年〔3〕(2021.12.23)
- 徳川文明の消尽の後に(改訂版)/After the exhaustion of Tokugawa civilization (revised)(2020.05.05)
- 鹿児島駅8時38分発 わが心の集団就職列車(2020.02.25)
「日米安保」カテゴリの記事
- コロナ感染を拡大する在日米軍の「治外法権」/ "Extraterritoriality" of the U.S. Forces Japan to spread corona infection(2020.09.29)
- PMアベは Constitution(国制)を改変できない(2)(2020.05.03)
- 「国難」とはなにか(2020.05.03)
- 再掲(13年前の惜別)→ アベちん、惜別の辞 (転載:安倍内閣メルマガ)(2020.03.03)
- PMアベは Constitution(国制)を改変できない(2020.03.03)
「歴史と人口」カテゴリの記事
- 人口縮小社会:一つの帰結(2022.12.09)
- 飯田哲也「複合危機とエネルギーの未来」岩波書店『世界』No.952(2022年1月号)(2022.01.10)
- 「自給」と「自然エネルギー」を考える/ Thinking about "self-sufficiency" and "natural energy"(2022.01.03)
- 書評Ⅱ:宇野重規著『トクヴィル 平等と不平等の理論家』2019年5月講談社学術文庫(2021.07.19)
- 書評Ⅰ:宇野重規著『トクヴィル 平等と不平等の理論家』2019年5月講談社学術文庫(2021.07.19)
コメント