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2020年2月10日 (月)

黒井千次『春の道標』小学館(P+D BOOKS 2017年9月5日)

 新潮文庫版が品切れのままで残念に思っていたのですが、知らぬ間に復刊されていました。それを祝して、amazonレビューを書きましたので、ご参考までに弊ブログにもポストしておきます。

「なぜ悲劇は心を慰撫するか」

 心に渇きを感じる度に、頁を開こうとする物語が私には三冊あります。この『春の道標』(1984年)、『巣立つ日まで』(菅生浩1974年)、そして『潮騒』(三島由紀夫1954年)です。

 幸福の慈雨に浸りたいときは『潮騒』です。涙で渇きを癒したいときは『巣立つ日まで』です。『春の道標』は、というと、実はなかなか開けないのです。読後の、足元の不確かさ、哀しい浮遊感、に怖気づいてしまうのです。物語を読んで、胸に穴が開いたようだったのはこの『春の道標』が初めてでした。今思い出しますと、心も血を流す、という意味で小学生の頃読んだ「人魚姫」と通じるかも知れません。悲劇の持つ、カタルシスの力、なのでしょう。

 復刊、慶賀の至りです。

黒井千次『春の道標』小学館(P+D BOOKS 2017年9月5日)

※同工異曲ではありますが、昔の記事もご笑覧あれ。
黒井千次 『春の道標 』 新潮文庫(1984)

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