PMアベは Constitution(国制)を改変できない
PMアベに憲法改正はできません。というのも以下の事情があるからです。
1945年以降の日本の統治者たち(霞ヶ関官僚、保守党中枢、マスメディア幹部、学会ボスである東大教授など)の注意は常に米国に向いていました。
何か全く新しい事態、何か多国間の利害に関わる大きな事件の際、統治者たちは米国の sign あるいは suggestion を決して見落とすことがないように全力をあげ、その最適な reaction を速く正確に計算することに腐心しました。それで半世紀なんとかやってきた訳です。保守政権(と外務省)が躍起になって求めていた国連常任理事国入りが果たせなかった最深の理由は、日本を常任理事国に入れても米国の拒否権が2枚になるだけであることを、日本以外の国連加盟国が熟知していたからです。
そして今、トランプ政権は日本を含めた世界のパトロンあるいはレフェリーとして世界システムの管理に身銭を切ることを止め、1プレーヤーに戻ることを露骨にアナウンスし始めています。これは、戦後日本政治にとって最大の危機と言えます。日本の現体制の大前提の変更を意味するからです。つまり、〝旦那〟が自分を捨てるかも知れない、ということです。
さて、そこで一考してみます。大日本国がアメちゃんの言いなりだとしても、単なる「空気を読む」だけや、「忖度」のみで、ここまで言うことを聞いている訳ではないでしょう。なにか実定法的根拠があるのです。だから、PMアベが「憲法改正」を切望しているとしても、現在の「日本国憲法」(つまり〝憲法典〟)に手を加えただけでは、日本の constitution(国制) を変更したことになりません。日本国システムの最高法規は「日米安全保障条約 with 日米地位協定」だからです。
PMアベは、「戦後=革新的なもの」「戦後=デモクラシー的なもの」が、「明治憲法体制(Meiji constitution)を捻じ曲げたと信じているようです。しかし、Meiji constitution を根底から否定したものは、戦後の米軍占領統治とその後継システムである「日米安全保障条約 with 日米地位協定」です。戦時には、自衛隊は在日米軍司令官(中将クラス)の指揮下に入ることはその日米密約で決められています。自国軍が外国軍の指揮下にあるということは、普通の感覚では、属国=植民地と言います。この仕組みを《米国対日管理システム》と呼んでおきましょう。
なぜ、PMアベがそれに気付かないかと言えば、戦後保守党政権がこの《米国対日管理システム》の最大の受益者であり、PMアベは、その受益システムの典型的な《申し子》であるからです。《米国対日管理システム》は、彼にとって、彼が揺り籠から呼吸する「空気」であり「酸素」です。彼が見ている「世界」そのものな訳ですから、それを認識するにはその外にでるか、何かの拍子にけたたましい違和を彼が感じるしかない。しかし、《システム》最大の受益者の一人であるPMアベがその外に出る動機は皆無ですし、また、一昨日の泥縄式の無内容な会見が示唆し、彼が「決断力」という名の「独断力」を発揮すると「Les Miserables」な結末になってしまうように、彼にPMが必要とする最低限の intellect が皆無だからです。
私は、中国の習近平の来日が当面キャンセルされてよかったと思っています。その理由は、習近平が「新型コロナウィルス感染症」発生源の責任者だからではなく、PMアベが習近平と首脳会談をやらずに済んだからです。巨大で複雑怪奇な〝中華帝国〟の boss になる人間は、大抵、大悪党と相場は決まってます。そして、中国人ほど「己よりアホには従わない」という原則に忠実な人々はいません。だからそこを生き抜いてトップの座につく大悪党の胆力と知能の高さは、超一級品ということになります。従いまして、PMアベが習近平とさしで話したりすると、PMアベの「ばか」が中国人のボスにバレてしまい、国辱ものなのです。
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