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2020年5月 3日 (日)

「国難」とはなにか

 先に、「種苗法の「改正」に反対します ― アベ売国政権の売国的法改正」という記事を本ブログに掲載しました。

 この売国的な、国民の生命/伝統遺産の存亡に関わるトンデモ「改正」法案について、大手メディアで正面から取り上げられないのは何故なのでしょうか。コロナ・ウイルス禍の話題ばっかり。これでは、時の政府の提灯持ちと何のかわりがあるのでしょうか。

 上記で、「伝統遺産」と特に言ったのは、この法「改正」を認めると、先輩の日本人たちが丹精をこめて蓄積した作物の遺伝/培養のノウハウが欧米のアグリビジネスにダダ洩れになるからです。

 なんと既に成立している農業競争力強化支援法(2017年)により、種子の生産に関する知見を民間企業に提供することが、公的な試験場などに対して《義務付け》られています。あのモンサント(2018年にドイツの化学薬品メーカーのバイエルに買収されたので、現バイエル)に、日本人の税金で機能している、農業試験場が蓄積している貴重な種子情報を提供しなければならないのです。唖然としてしまう事態です。日本農業の競争力を弱化する支援法を成立させてしまっていたこと自体が、ある意味で外堀を埋められていた訳で、薄ボンヤリしていた私たち国民に落ち度はありますし、猛省しなければなりません。

 しかし、それにしても、日本の政府が、米国の植民地総督府に過ぎない、という事実と実態を有権者は肝に銘じないといけません。

 日米安全保障条約および日米地位協定という法的枠組みで、戦時には「自衛隊」が在日米軍司令官(中将)の指揮下に入ることは、既成事実化していますが、これを推進したのは、安倍の祖父岸信介麻生の祖父吉田茂ですから、今の内閣なら何でもアリなのです。

 安倍は何かと言うと一つ覚えに「国難」と叫びますが、安倍内閣が、この列島史における有数の「国難」そのものである、と言うべきです。

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日米安保」カテゴリの記事

コメント

ヒルネスキーさん
コメントありがとうございます。

「末は博士か大臣か」これは、立身出世のゴールを示す決まり文句です。明治コンスティテューションにおいて、大臣になるには大別して二つの登攀ルートがあります。まず、官界ルート。東大→高文→官界→大臣、高文→官界→衆院議員→大臣。次に、新聞記者ルート。早稲田→議員秘書→衆院議員→大臣。
 つまり、新聞記者は、早稲田系(私大系)の出世ルートであるわけです。PMアベの親父、晋太郎は、東大法→毎日新聞→大臣秘書官→衆院議員→外務大臣、でした。言論がときの権力と independent な関係でないのは、未だに「記者クラブ制」が維持されていることからも分かります。だから、大新聞、大テレビ局は、どちらかというと「リアリティの管理者」のインナーサークルに属しますので、なるべく早く、消えたほうがよい、というのが私の見解です。

投稿: renqing | 2020年5月 5日 (火) 20時40分

2番目のと最後のはtogetterのコメの方が説明が付いてるなと思えたので貼りました。
ミクロとマクロを繋げるのがマスコミの本来の役目だと思うんですが、以下を読むと今はまだ無理だなと。

>「日本のマスコミの起源は秩禄処分(1876年)で下放され、士族反乱(1874年~1877年)で敗れた元士族達。
  だからその行動の背景には常に政府に対するルサンチマンと経済的合理主義に対する侮蔑があり、
  互いにスキャンダルを流して失脚させた人数を競い合うのを元来のシノギとしてきた」
>そもそも起源の異なる欧米のジャーナリズムと同質のサービスを求める側の方に無理があるのかもしれない。
 おそらく発足時点から現在に至るまで一度たりとも日本のマスコミは「大衆の味方」であった事などなかった。
 敗戦直後の朝日新聞も
 「新聞社の存続目的は社員を食わせていく事にあり、この聖なる大義名分を批判する事は誰にも許されない」
 と国民に向けて堂々と本音を語っている。
 たとえどんなに追い詰められても原点回帰を繰り返すだけだろう。
>まさしくその行動原理が元来は終始一貫して氏族戦争(Clan War)の遂行のみを目的として組織された武士団そのもの…
 しかも実際にその経済基盤はいまだランティエ(rentier、地税生活者)段階に留まっている?
>「近代化」以前に「近世化」されてない?

【これでいいのか】【これでいいのだ】完全に地雷を踏んだ毎日新聞
http://ochimusha01.hatenablog.com/entry/2018/02/02/012555

投稿: ヒルネスキー | 2020年5月 5日 (火) 18時31分

ヒルネスキーさん
関連サイトのご紹介、ありがとうございました。最後の引用の、田村貴昭議員スタッフさんたちの解説tweetが問題点の整理によいですね。結局、この法改正に賛成の人は、日本農家の韓国農家からの権利侵害に法的に対抗するためというミクロの「愛国」的理解のようですが、この法改正の長期的でマクロの帰結が、アメリカ、ドイツの多国籍アグリビジネスへの便益・利益贈与という「売国」的筋書きをも有しているという隠された目的を知らないか、あえて見て見ぬふりしているところが最大の問題でしょう。

投稿: renqing | 2020年5月 4日 (月) 19時13分

>まず種苗法の基本として、品種をつくった人の権利=育成者権には期限がある。技術の特許や本の著作権と一緒。韓国で作られている日本のイチゴ品種「章姫」や「レッドパール」はそれぞれ2007年、08年に権利が消滅した。今、韓国でこうした権利切れの日本品種のイチゴをつくっても法的に何の問題もない。
>種苗法の原則=「新品種の育成、試験、研究のためにする品種の利用」には育成者の効力は及ばない(第21条1)。育成したのが従属品種・交雑品種の場合は及ぶ(第20条2)が、韓国の輸出用イチゴ品種はそのどちらでもない。

浅川芳裕さんの日本の種苗法と韓国いちごについての解説(2018年3月5日)
https://togetter.com/li/1205655

柴咲コウ氏、種苗法改正案審議入りへ警鐘「日本の農家さんが窮地に…」←ちょっと待て?(2日前)
https://togetter.com/li/1501796

【種苗法改正案の問題点】農家のタネ取りが禁止されるのは登録品種だけ?そんなに大きな影響は(すぐには)ない?(2日前)
https://togetter.com/li/1501878


引用した文は「へえ」と思ったので貼る事にしました。
サカタのタネとかタキイ種苗とか知りませんでした。

投稿: ヒルネスキー | 2020年5月 4日 (月) 17時47分

ヒルネスキーさん、コメントありがとうございます。
>何もかも誤解のはず
これが、「リアリティの管理者」たる霞が関官僚の特技です。
前回の弊ブログ記事中にリンクを貼りました、元農水大臣/山田正彦氏のブログ記事の真ん中あたり、をお読みください。いかに農水省が問題の核心をはぐらかしているか如実にわかります。一部だけ引用しますと、
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農水省は最近、国会議員に、一般品種は大丈夫で、登録品種はほんの一部にすぎないから心配いりませんと説明して回っています。
本当でしょうか。
コメ麦大豆にしても、農家は品種登録されたかなりの品種の自家採種を続けているのが現状です。農水省に調べていただいた表です。
https://drive.google.com/…/1h1Td34dz-Bun15yQ1aDFd4Bq5…/view…
残念ながら、既に日本で栽培されている野菜の 90%は登録品種で F 1になり海外でモンサントなどの多国籍企業によって生産されています。 
いちご、サツマイモ、沖縄などのサトウキビ、ことに果樹農家は苗木を1本購入して接木、剪定枝の挿し木なので増殖させて来ましたから影響は深刻です。 
さらに農水省は、有機栽培農家の伝統的な品種は対象ではないので心配いりませんと述べています。
本当でしょうか。
種子島の安納地区では安納芋でも2種類登録されていて、伝統的な「えごま」も3種類が既に登録されていますので有機栽培農家とて安心はできません。
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さらに詳しくは、同参考サイト2)の
2)種苗法改正の何が問題なのか 種苗法って何?  種子の知的財産権と農民の種子への権利(松平尚也) - 個人 - Yahoo!ニュース
の、条約、法、関連の詳細な解説をお読みください。松平氏のサイトからも一部引用します。
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農水省が定める「自家増殖禁止の品目」は、2016年の82種から2019年には387種まで急拡大している。さらに登録品種が全くない野菜(ニンジン・ホウレンソウ)や果樹も対象に含まれるようになっている。
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 当の農家の方たちでさえも、さきの農水省側の「説明」を聞いて、コロッと騙されていたようなので、私たち当事者外の有権者では、なかなかこの法案の最終的帰結まで見通すことは困難だと思います。騒いでいるこの私でも2週間前に「代替案のための弁証法的空間」ブログ記事で初めて「種苗法」というものの存在を知り、GWを機に調べ出して、あわてて記事を書いたという体たらくです。
 霞が関官僚は立法技術とその説明のプロフェッショナルです。その法律が最終的に誰に益で、誰が損をするのか、をあまり表に出さないように立法し、かつ、巧妙に説明します。彼らが、日本最強の「リアリティの管理者」なのです。

投稿: renqing | 2020年5月 3日 (日) 17時26分

自家採種の禁止対象は登録品種でいわゆるブランド作物のみ、そしてそれに関わる種苗法改正はもう終わってて禁止リストもあるから何もかも誤解のはずと聞いたのですが……>種苗法

投稿: ヒルネスキー | 2020年5月 3日 (日) 16時03分

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