悲しみは《こころ》を解き放つ/ It is sadness to release the bound heart.
「他ひとに愛想を盡かした私は、自分にも愛想を盡かして動けなくなつたのです。」夏目漱石『こころ』復刻版p.422、「先生と遺書」より
「悲劇はあわれみとおそれを通じて、そのような感情の浄化(カタルシス)を達成する。」(アリストテレス『詩学』岩波文庫、P.34)
「事件が起つてからそれまで泣く事を忘れてゐた私は、其時漸く悲しい氣分に誘はれる事が出來たのです。私の胸はその悲しさのために、何の位寛ろいだか知れません。苦痛と恐怖でぐいと握り締められた私の心に、一滴の潤ひを與へてくれたものは其時の悲しさでした。」夏目漱石『こころ』復刻版p.413、「先生と遺書」より
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