自由における「である」こと、「する」こと
「世界一貧しい大統領」で世界的に著名な南米ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカ(弊ブログ記事ご参照)の、興味深いインタビュー動画がYoutubeにありました。
ホセ・ムヒカの話を整理するとこうなるでしょうか。
人生の時間=労働する時間+自由な時間・・・A
自由な時間=人を愛する時間+好きなことをする時間・・・B
B式をA式に代入します。
人生の時間=労働する時間+{人を愛する時間+好きなことをする時間}・・・C
そして、人間の寿命というのは、どんなに長くともそれほど大きくかわらない。一定です。
従いまして、息子により多くのカネを残すため(or 5G携帯を買うため)に、労働時間が増えたり、労働がよりキツくなって自宅でぐったりする時間が増えれば、人を愛する時間 or 好きなことをする時間、のどちらか、あるいは両方が減ってしまう。
そして、ひとはその誕生から死まで、必ずどこかで他者の世話になります。乳幼児のとき、病気・ケガのとき、老いたとき。
そのとき大切なのは他者から愛であり、他者からの愛は他者への愛と同時に始まるものです。
『算法少女 (ちくま学芸文庫)』という一風変わったタイトルの本があります。安永4(1775)年、町医者の父親と娘が書き、江戸で出版されました。求積が中心の中3から高1内容の数学書です。十八世紀に13・4歳の庶民層の少女が数学の本を出版するということは、おそらく欧州にも事例がない世界的に稀有なことに属するでしょう。
これは、徳川日本の《市民社会》が可能にした、人間が希求する「愛情」と「自由」の一つの証左であると私は思います。
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