「人文系“ワープア博士”」向けクラウドファンディング(2)
前回の続きです。
今、私が実現できたらいいな、と思うのは、個人が個人のアイデアごとにサポーターになる、というものです。
優れた研究者が常に優れた研究をする、とは必ずしも言えません。それなら、研究プロジェクトという事物(オブジェクト)に対して資金を提供してもらったほうが良い。
既存の大学アカデミズムがそれらの新しい試みを評価する意欲と能力をともに失っているなら、それを公共空間に晒してみて「世間様」にご判断いただく。「投げ銭」「木戸銭」みたいなものです。人文系の研究なぞ、そもそも「何の役に立つのか」不明ですし、「何の役にも立たない」かも知れません。
それでも「世間様」から「面白い」と評価されるようなものがあれば、それは後世に遺す価値があるのだろう、というところです。とりわけ人文系は書籍、資料、史料というマテリアルがどうしても必要ですから、研究サポーターは「図書券」という形式で、支援したっていい。「amazonギフト券」だっていい。研究者個人(人文系“ワープア博士)ならどれでも何かの役に立つでしょう。
それなら特定の「誰か(大先生 or 教授会)」の評価に依存せず、「世間様」の filtering にかけられますし、「世間様」から直接金銭的に支援してもらえる。私は、この列島の民衆の知的レベルは、欧州や米国に比べると結構高いと思いますので、意外といけるかもと、妄想している訳です。
徳川日本の学芸は、権力や貴族のパトロネージなしで、民衆が市場を介して支えていた、つまりビジネスとして成立していたのが実態です。ご先祖様の顰に倣うといったところでもあります。
妄想、幻想の類です。
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