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2020年10月12日 (月)

幕末維新テロリズムの祖型としての徂徠学(4)/ Ogyu Sorai as the prototype of the Meiji Restoration terrorism

(3)から

 本記事に関連して、再び思考誘発的な質問がありました。下記。

Q,「テロリストが出てくるという事は、それだけ長州藩は民主化していたとも言えます。逆説的に言えば、幕末の時期にテロリストも出て来ない藩とは一体、どういう藩なのか。 」

 そんなことを考えたこともなかったので、一瞬面喰いました。しかし、これはかなり重要な側面を言い当てていることに気付きました。 私の当面の回答は以下です。

A.とりあえず、簡略にお答えします。
 まず、幕末テロリストですが、彼らはほぼ全員、脱藩浪士です。なぜなら脱藩しないと類が藩に及ぶからです。
 では長州/薩摩のテロ行為はどうなのか。
 この二藩のテロの中心人物、桂、高杉、久坂、そして西郷、大久保などは、一人として「脱藩」していません。彼らは、他藩出身の脱藩テロリストに資金と隠れ家としての藩邸を提供し、指図するだけです。彼らはどういう状況になっても脱藩しません。むしろ藩内で急進党派を糾合して、藩内クーデタを繰り返し、「藩」権力、「藩」組織、「藩」軍事力そのものを奪取します。そのうえで、藩内の反対党を徹底的に粛正(切腹に追い込む)しています。そこがこの二藩の自称「正義党」の政治リアリズムです。ロシア・ボルシェビキと全く同じです。脱藩者が出るのは、藩の統治力(藩ガバナンス)の問題で、尊王攘夷の老舗本舗、水戸藩はこの藩ガバナンスが全くだダメで、脱藩者は出すわ、藩内テロ(内ゲバ)で日常的にそこらに晒し首がでるわ、で藩組織が崩壊しました。藩内アナーキーです。
 幕末で、脱藩者が出なかった藩は、藩ガバナンスがとりあえず維持できていたという意味では、幕末の動乱の犠牲者を(結果的に)小さくしていたとむしろ評価すべきです。

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