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2020年11月11日 (水)

民主制の統治能力(2)/ Ability to govern in democracy (2)

 知人より本記事(1)に応答がありました。

「米国は宗教的国家である、あるいは宗教が「つっかえ棒」だから、容易に社会秩序は崩壊しないはずだ(アーミッシュAmishを見よ)」というご意見です。

 「北米合衆国が宗教的色彩の濃い国家」であることは、私も同意見です※。

※私も弊ブログにて縷々論じています
明治の立身出世主義の起源について(3)
明治の立身出世主義の起源について(4)

 しかしながら、先のご意見には同意しかねます。

 というのも、米国における宗教の特徴は、sect 内における濃密な宗教性と秩序、および sect 外における非宗教的公法性です。各セクトが宗教的に active であればあるほど、各宗教セクト間を宗教的に結びつけることはむしろ困難となり、非宗教的な公法的秩序(換言すれば合衆国憲法 or 世俗的社会契約)で相互の関係を形成するしかありません。私は、その局所的 local な sect ではなく、それらを連結する大局的 global な社会契約を問題としています。

 米国の現在が、個人と個人、あるいは、個人を一要素として包含するセクトとセクトを律するであろう社会契約が脆弱化している、と予想されるなら、個人は銃で身体を守るか、shelter として何らかの sects に身を寄せつつ心と身を蓋うか、するしか手段がない。米国に於けるコロナウィルス疾病による死亡者の異常な多さは、国家規模の健康保険/公共福祉の不在に依りますが、それを米国で埋め合わせているのが、文字通り shelter となっている各宗教的 sect です。

 各 sect が宗教的に active になればなるほど、むしろ北米合衆国の「国家」としての求心力は低下する、と私は理論的に予想します。

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