「であること」と「であるべきこと」のあわい/ Between 'to be' and 'ought to be'
もし事実(である)が過去に属すなら、価値(であるべき)は未来に属すでしょう。それなら、現在は、事実と価値のあわい、「であること」と「であるべきこと」の中間、未分明の動的境界ということになります。
《現在》を語ることが、《過去》や《未来》に比べ思いのほか難しいのは、そのせいです。そして、「である to be」過去と「であるべき ought to be」未来に挟まれた現在は「すること to do」になりそうです。
敗戦(1945年)から高度成長直前の1950年代末まで、活発に「現代」を問うていた丸山真男が、日本が高度成長によって急速に変貌し始めて以降、思想史研究者に復帰したのは、彼にとっての未来、あるいは夢が失われてしまったからなのでしょう。渡邊千冬は「人は夢を見ることが出来る間は幸福である」と言いましたが、それからすれば、丸山が後半生、不機嫌だったのは夢を失ったからなのだと思えます。
| 固定リンク
« 身軽に問い、打たれ強く考える/ Ask agile and think resilient | トップページ | 私の知的リソース・ダイアグラム/ My intellectual resource diagram »
「思想史(history of ideas)」カテゴリの記事
- Masao Maruyama, "Carl Schmitt (Schmitt-Dorotic) (1888-1985)," 1954(2022.06.06)
- 丸山真男「シュミット Carl Schmitt (Schmitt-Dorotic)(1888-1985)」、1954年(2022.06.06)
- 我们生态危机的历史根源 / Lynn White, jr. 1967.(2022.06.03)
- エコロジー危機の歴史的根源/リン・ホワイト・ジュニア 1967年(2022.06.03)
- The Historical Roots of Our Ecological Crisis / Lynn White, jr. 1967(2022.06.03)
「Watanabe Satoshi (渡辺慧)」カテゴリの記事
- Instruction manual for our blog(2021.05.02)
- 「であること」と「であるべきこと」のあわい/ Between 'to be' and 'ought to be'(2021.01.13)
- 塩沢由典『増補 複雑系経済学入門』2020年5月ちくま学芸文庫(5)(2020.07.09)
- 塩沢由典『増補 複雑系経済学入門』2020年5月ちくま学芸文庫(4)(2020.07.06)
- 塩沢由典『増補 複雑系経済学入門』2020年5月ちくま学芸文庫(3)(2020.06.20)
「丸山真男(Maruyama Masao)」カテゴリの記事
- Masao Maruyama, "Carl Schmitt (Schmitt-Dorotic) (1888-1985)," 1954(2022.06.06)
- 丸山真男「シュミット Carl Schmitt (Schmitt-Dorotic)(1888-1985)」、1954年(2022.06.06)
- 丸山真男,现代自由主义理论,1948年(2022.06.05)
- Masao Maruyama, "Modern Liberalism," 1948(2022.06.05)
- 丸山真男「現代自由主義論」1948年(2022.06.05)
コメント