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2021年2月 5日 (金)

反ジェネシスとしてのブリコラージュ論/ Bricolage as anti-Genesis

 標題は、フランソワ・ジャコブ『可能世界と現実世界』1994年みすず書房Francois Jacob, The Possible and the Actual (Jessie & John Danz Lectures))、のamazonレビューに付したものです。弊ブログ記事の他篇と同工異曲ですが、一応こちらにもupしておきます。

「反ジェネシスとしてのブリコラージュ論」

 本書の独創性は、古典論理や、因果律とも異なる、時間発展における経路依存のロジック=「進化律」(Path-dependent logic in time evolution = evolutionary law)を提起したところにあります。私はそれを「資源論 theory of resources」と呼びますが。わかる方にはわかるでしょう。

「エンジニアとは違い、進化は、ゼロから新たなものを作り出すことはない。進化は、すでに存在しているものに作用して、ある系を新しい機能を持ったものに変換したり、いくつかの系をより複雑なものにすべく組み合わせる。自然淘汰は、人間の活動のいかなる面とも類似点を持たない。あえて何かになぞらえるとするなら、この過程は、エンジニアリング(engineering)ではなく、ティンカリング(tinkering)、フランス語でいうブリコラージュ(bricolage)に似ていると言わねばなるまい。」(本書p.45)

「それぞれの事例において、自然淘汰は、その時の手持ちの材料で、できる限りのことをしたのである。」(本書p.49)

「最後にエンジニアリングとの違いとして、ブリコラージュは仕事をより完全なものにすべく、しばしば新しい構造を古い構造に、置き換えるのではなく、付け加えるという点がある。 」(本書p.49)

上記すべて、フランソワ・ジャコブ『可能世界と現実世界』みすず書房1994、「進化のブリコラージュ」より

 それにしてもユダヤの子、ヤコブ(Jacob)が反創世記(anti-Genesis)を語るとは・・。これも一種の「ユダヤ人的自己憎悪」Der judische Selbsthassの帰結なのか。歴史の狡知を感じざるを得ません。
「ユダヤ人的自己憎悪」Der judische Selbsthass については、決定論の起源 The origin of determinism (2結): 本に溺れたい、をご参照。

※参照
ブリコラージュと資源論(Bricolage and theory of resources): 本に溺れたい
レシピと設計図 その科学哲学風考察 Genes : recipes or blueprints?: 本に溺れたい

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