フーコーの成し遂げたこと
フーコーは、一定の人間集団において、正常者(or理性、A)と異常者(or狂気、not A)を区別する法廷の裁判官が、どの審級においても正常者(or理性、A)であること見抜き、これを「権力」現象である、と喝破しました(加藤尚武による指摘)。
これは凄い発見だったと思います。
それが可能だったのは、フーコー自身が絶えずその「権力」に晒されていた、性的マイノリティだったからでした。また、この紀律的「権力」が「近代 moderne」というヤヌスの一面であることの指摘もフーコーの貢献でしょう。
それらを考慮すると、フーコーにどう対したら良いのか、困ってしまうのですが、せめて小児性愛への嗜好は心の内側にしまっておいてくれても良かったのでは、と私のような小心者は思ってしまいます。
| 固定リンク
「思想史(history of ideas)」カテゴリの記事
- 徂徠における規範と自我 対談 尾藤正英×日野龍夫(1974年11月8日)/Norms and Ego in the Thought of Ogyu Sorai [荻生徂徠](2023.08.30)
- 徳川思想史と「心」を巡る幾つかの備忘録(3)/Some Remarks on the History of Tokugawa Thought and the "mind"(kokoro「こころ」)(2023.06.11)
- 初期近代の覇権国「オランダ」の重要性/ Importance of the Netherlands as a hegemonic power in the early modern period(2023.05.15)
- Wataru Kuroda's "Epistemology"(2023.05.01)
- 黒田亘の「認識論」(2023.04.30)
「Michel Foucault(フーコー)」カテゴリの記事
- Proof of Origin for "Modernity"(2022.12.25)
- 「Modernity」の原産地証明(2022.12.25)
- ライア・グリーンフェルド(Liah Greenfeld)"ナショナリズム三部作”(2022.04.28)
- Liah Greenfeld's "Trilogy of Nationalism"(2022.04.28)
- What Foucault accomplished(2021.04.19)
コメント