20年前に予告されていた西部邁の入水自殺
共同討議 伝統・国家・資本主義--保守主義の理路を問う / 西部邁 ; 浅田彰 ; 福田和也;柄谷行人(1997.10.9)
太田出版 1998.1 批評空間 II-16
対談記事はpp.6~30、下記の西部発言はpp.28~29
西部 こういうことをやってみたことがあるんですよ。どうやって死ぬか。自分で死んでしまえ、と。いちばんいいのは青酸カリで、次はピストルだけれど、青酸カリとピストルは、日本では手に入らないことがある。それで三番目に思いついたのは入水自殺です。私はカナヅチで泳げない。それで最初は、入水自殺というイメージはものすごい恐怖なんです。ところが、おもしろいことに、自分が入水自殺した光景を繰り返し自分の中でイメージさせる。そうすると次第に自分の頭が平気になるんですね。それだけじゃない。私はカミさんにそのことをしゃべり始めてみたんです。最初は、やはりカミさんですから、そういうふうなことは嫌がる。ところが、何度もしゃべっているうちに、向こうも平気になるんです。「あなた、いつ死ぬの」という感じになってくる(笑)。案外そんなものかなと思って。
浅田 心理学的レヴェルではそのとおりでしょう(笑)。
西部 死の問題について、仰々しい形而上学ではなく、ごく素朴な人生観として、そのことをさまざまなケースについていろいろ考えたりしゃべったりしていると、案外気持ちが落ち着くものだ。そういうことをこの10年近くやっているんです。どういう死に方を選ぶかというのも、もちろん最初は「かのように」ですよ。それを繰り返しやっていると、自分の頭も周囲の頭もかなりそのリアリティを受け入れるようになる。そういうことを五〇代に感じたんです。
※参照 西部邁への断章: 本に溺れたい
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