満場一致と多数決 ―ものの決め方の歴史ー〔日経新書/1980年〕
書名:満場一致と多数決 ―ものの決め方の歴史ー
著者:利光三津夫・森征一・曽根泰教
版元:日本経済新聞社(日経新書325)
発行年:昭和55(1980)年
本書は、新書の体裁ではありますが、比較法制史、比較国制史において、アカデミックな「奇書」と評しても過言ではないでしょう。西欧と日本(インド中国も含む)の比較史であるため、欧米に類書も見当たらないので。問題発見型の学術書の傑作です(問題解決型ではありませんが)。
現代日本で democracy を再考する際の一つの知的武器とも言えます。
著者のお一人に、10年近く前、分けて頂けないかお尋ねしたところ、著者の手元にもない、との返事でした。
40年も前の本書を、日経が復刊するとはちょっと想像しにくい。講談社学術文庫、ちくま学芸文庫、平凡社ライブラリー、岩波現代文庫、等の皆様、こういう幻の名著を復刊するか否かに、編集者の見識と知力(intelligence)が現れると申し上げておきます。自分ところの単行本を文庫化するだけが能ではないでしょう。
※弊ブログ記事閲覧の方への便宜として、下記に本書の〔詳細目次〕を転載しておきます。
目次
まえがき
序
第一章 西欧におけるものの決め方
1古代オリエントのものの決め方
2ギリシア人のものの決め方
3ローマ人のものの決め方
4キリスト教会のものの決め方
5ゲルマン人のものの決め方
6中世イタリア都市のものの決め方
7イギリス議会
8宗教改革と多数決
9中世法人理論と多数決
10自然法思想と多数決
第二章 日本人のものの決め方
1古代日本のものの決め方
2中国・インドの決定方式
3奈良時代のものの決め方
4平安時代のものの決め方
5鎌倉・室町時代のものの決め方
6戦国時代のものの決め方
7江戸時代のものの決め方
8明治期の大変革
第三章 満場一致と多数決
第四章 多数決と満場一致の現代的意義
1多数決の論理
2投票のパラドックス
3多数決と少数者
4満場一致について
5橋の哲学
6満場一致か多数決か
〔参考文献〕※
※引用者註:この文献リストも類編が無く、かなり貴重。
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