高1数Aの使い道(新型コロナ感染症へのアプローチ)/Consider COVID‑19 using high school mathematics(1)
文科省による、現在の指導要領では、高1数は、ⅠとAに別れております。数Ⅰは、2次方程式、2次関数、三角比、データ処理(統計)となっています。数Aは、確率、図形、整数、ですね。
この中で、高1生の皆さんを最も悩ませているのは、「確率」ということになるのではないでしょうか。その中でも、独立試行、反復試行、条件付き確率、というのが難所となっているように思われます。
※(2)をpostしました。ご笑覧いただければ幸甚。
数学は、やっていても、他の科目とは違い、現実との関連性を実感できないため、現実的な面から興味をもつことは難しい。従いまして、問題に取り組んでいても、自分が何をいまやっていて、それがどういう意味をもつのかを感じにくい。プロの数学者(数理科学者)は、数学の世界に vision をみていて、それが彼らにとって、生き生きとした数学的なリアリティ(これを小平邦彦は〝数覚〟と表現していました)をもたらしているようですが、そういうリアリティを実感できる高校生はごく一部であり、他の大部分の高校生にとって、早く終わってほしい苦行となっているかと思われます。
そういう中で、たまたま必要があり、数研出版の高校教科書『数学A/327』(p.67)の確率の調べていましたら、ちょうど今現在においてなかなかヴィヴィッドな箇所がありました。「原因の確率」が小テーマで、それが「新型コロナ感染症」への興味深い教訓を私たちに与えていると思われるのです。下記に、その箇所をそのまま、引用してあります。少々、見にくいので、ポインタを重ねて、クリックして頂き、別ウィンドの鮮明な画像をご覧頂けますと助かります。
※下記の途中式の第1行目にタイプミスがありましたので訂正します。〈+〉記号のところを、〈÷〉としていました。20221008
問題の設定を整理しておきましょう。ただ、今わかりやすいように、コロナ感染症問題に当て嵌めてリライトしてみます。数字は現実のものではなく、演習問題を解くための簡単な仮設的数字例になっていますが、考えるヒントにはなりそうです。
新型コロナ感染症の、ある検査法は、
1)新型コロナウィルスに感染しているのに誤って陰性と判定する確率が1%
2)感染していないのに誤って陽性と判定する確率が2%
そして、
3)ある集団が、新型コロナウィルスに感染している確率は、その集団全体の1%とわかっている場合
4)この集団から一つの個体を取り出し、その検査結果が「陽性」だったとき、実際に感染していない確率を求めよ。
この設定で、この検査個体が、いわゆる「偽陽性」である確率は、約66.7%と計算されます。この数字をどうみるか。この件については、本記事をご覧頂いた皆様で考えて頂ければ幸甚です。
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