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2023年1月26日 (木)

heuristics としての「数学」について( or 数学は科学か?)/ On "mathematics" as heuristics (or Is mathematics a science?)

 数学がトートロジー tautology であるにも関わらず、「発見法的 heuristic」に強力なのは、

1)多次元で複雑な「思考 thinking」を、演算化(算術化)し、一次元の記号列に次元低下するので、著しく「思考経済 Thinking economy (Denkökonomie)」的だからです。

 中学受験では、「つるかめ算」をよく「面積図」化しますが、中学数学でいったん連立方程式の手法に慣れると二度と以前の解法に戻れなくなるのも、方程式の「思考経済」効果の一例です。

 また、

2)証明された「定理」はその範囲で正しさは確定しているので、もし一つの議論の中で適切に数学定理を適用できれば、これも著しく「記述経済 descriptive economy」的となります。

以上、2点が他分野における数学利用の「効用」ではないか、と愚考します。


 上記の数学のメリットは、数学が「自然科学」ではなく「プログラム科学」である、ことの一つの(重要な)帰結と思われます。故吉田民人の用語で言うならば、数学は「法則定立科学」ではなく、「プログラム解明科学」となります。

そこからもう一歩踏み込んで表現すれば、

数学は、プログラム構成科学である

と言っても宜しいかと思います。数学をこのように特徴づければ、ポアンカレ(Jules-Henri Poincaré)の、

ユークリッド幾何学は真だというのではなく、有利だ
ポアンカレ『科学と仮説』岩波文庫(1985年) 、p.116

という言葉も合点がいく、というものです。

※参照
1)吉田民人『近代科学の情報論的転回 プログラム科学論』吉田民人論集編集委員会編、2013年、勁草書房

2)ポアンカレ『科学と仮説』岩波文庫(1985年) Jules-Henri Poincaré, La Science et l’hypothèse(1902): 本に溺れたい

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