峡谷に薔薇の花弁を
「・・・・。私は友人に、書くということは、深い井戸に石を落として、水しぶきが聞こえるのを待っているかのようだ、と言ったことがある。だが友人は、それは違うと言う。彼によれば、書くということは、グランドキャニオンにバラの花弁を落とし、爆発を待っているようなものだ、と。」(1)
さて、僕もこうして、一枚の花弁を投げ込むことができた。ゆっくりと爆発を待とうではないですか。
2004年5月
保刈 実注(1) Greg Dening, Readings/ Writings, Carlton, Vic.: Melbourne University Press, 1998, pp.xix-xx
※保刈実氏は、本書脱稿から数日を経た2004年5月10日にメルボルンにて逝去されました。(御茶の水書房編集部)
以上、
保刈実『ラディカル・オーラル・ヒストリー —オーストラリア先住民アポリジニの歴史実践—』岩波現代文庫/ 学術380, 岩波書店2018年、pp.314-315, 「著者によるあとがき」
より、引用しました。
〔引用者註〕上記は、小川幸司『世界史とは何か ―「歴史実践」のために—』岩波新書, シリーズ 歴史総合を学ぶ③、岩波書店2023年,p.32,より教えられた。
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