速水融

2014年5月 2日 (金)

18C末徳川期の諸資源の相対価格

ある雑誌エッセイ*に徳川天明末から寛政初における、経済諸資源の相対価格がわかる非常に興味深い史料が記載されていた。ご紹介する。

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2011年8月25日 (木)

浜野潔『歴史人口学で読む江戸日本』吉川弘文館(2011)〔承前〕

 

前回の記事で、斎藤氏の議論の出典を明記してなかった。それほどディープな読者もいるまいと思ったせいだが、載せれば載せたでトレースされる方もいるかと思い直した。ということで以下、参照。

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2010年4月17日 (土)

抱腹絶倒の速水融記念講義

 日本の歴代の歴史学者で欧米に最もその名を知られているのはおそらく、歴史人口学の速水融氏だろう。その速水氏が平成18年に、慶應義塾の創立150年記念事業として記念講義をしている。

慶應義塾創立150 年記念速水融名誉教授講義

 戦後の焼け跡頃から、研究者としてたって行くころまでのものが中心で、初期の、宮本常一や網野善彦との邂逅のエピソードも興味深い。なかでも面白いのは、彼が助教授になりたての頃や、慶應から若手学者としてヨーロッパ留学する際のエピソード。なにしろ時は1963年。まだまだ海外渡航が珍しく、かつ交通的にも不便なころ。若い速水氏は、「なんでも見てやろう」風に、留学先のポルトガルへ旅の途中、中東地域をぐるぐる回る。イラン、イラク、カスピ海、レバノン、シリア、エジプト。この破天荒な道行が、彼の学者としての人生に甚大な影響を与えたことを知ることができ、感慨深い。これを見ると、運を手繰り寄せるだけの強さを、一方でお持ちだということを感じる。

 ま、とにかく面白いので、是非一瞥されることをお薦めする。記念講義当日配布されたと思しきハンドアウト(資料)は下記。

慶應義塾創立150 年記念速水融名誉教授講義
「苦しかった講義、楽しかった講義、歴史人口学、勤勉革命、経済社会」

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2010年2月 6日 (土)

徳川国家の資本主義化を妨げたもの

 資本主義 Capitalism でものを言うのは、貨幣 money です。しかし、だからと言って、Moneyism とはあまり聞きません。すると、資本主義 Capitalism において決定的に重要なものは、やはり資本 caital なのです。

 では、市場経済 market economy はどうでしょうか。これは貨幣 money を媒介にした交換経済です。まあ、いろいろな物資が売り買いされる経済です。

 ここで思い起こされるのは、フェルナン・ブローデルの三層構造モデルです。下記。

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2009年9月28日 (月)

「明治維新」を現出させたユース・バルジ(Youth Bulge)

「未解決の課題であるが、明治維新の起動力となった人物を生み出したのは、ほかならぬこの地域であり、例外なく維新に先だつ時期に人口の増大を見た地域である。人口増大と政治変革とを直接結びつけることは冒険に近いが、いくつかの媒介項を設けることによって説明が可能となるだろう。」
速水融「人口誌(Demography)」岩波講座日本通史第1巻『日本列島と人類社会』(1993) 、p.132

 同書のp.130の図1「国別人口の変化(1721-1846)」を見てもらえば一目瞭然なのだが、薩長土肥が見事に黒くメッシュ(人口20%増の地域)されている。このような人口急増によって、他の年代と比べて突出して膨れあがってしまった若者たちをユース・バルジ(Youth Bulge)とG.ハインゾーン*は名付けた。

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2008年4月28日 (月)

エートスの進化( The evolution of ethos )(2)

 エートスが進化するとしたら、それは社会に受け入れられているエートスの交代だと前回述べた。

 つまり、エートスaがエートスa+やエートスa-に歴史的に遷移したならば、それはエートスaが、a+やa-に変容したのではなく、異なるエートスであるa+やa-に切り替わったのだ、とみなせるし、それが歴史の進化的理解にも合致する、ということだった。

 では、エートスaが存在して、そのT歴史時間後にa+やa-が出現するとしたらどのような経路が考えられるだろうか。契機は三つある。1)異なる預言者の出現、2)エートスaをもたらした預言者x自身の思想変化、3)預言者aの思想が、ある社会層のエートスaとして受け入れられる際の変形、である。

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2008年4月25日 (金)

エートスの進化( The evolution of ethos )(1)

 進化理論は、変異と選択という二つの概念装置から構成されている。

 変異とは、ある種が何らかの要因で変ることであり、選択とはその種の持つ形質がその種が生きている局所的世界、つまり生活環境にうまくフィットしているため生き残る、という意味である。

 そして、この二つの事柄は全く独立したことだ、というのがダーウィン進化論の核心だ。その二つの組み合わせで進化という現象、つまり「1世代を超える時間的なスケジュールでの生物の(遺伝的な変化を伴う)形質の時間的変化」*が起こるのだとする。

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2008年4月18日 (金)

ダーウィン進化論の本質(The essence of Darwinism)

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 プラグマティスト、ジェームスはダーウィン進化論の良き理解者でもあった。彼は、当時広く流布していた、ハーバート・スペンサー流の「まちがったダーウィン主義」を批判していた。スペンサーは、進化が自然環境(風土)、祖先の条件などに起因するとして、社会が変化を決定するという主張がダーウィニズムの本質なのだとしていた。ダーウィンはあらゆる自然の変異が、無方向で無目的であることを積極的に肯定していた。またダーウィンの「選択」の概念には起こったことを後から(ア・ポステリオリ)記述する以上の意味は含まれていない。ダーウィンは、誰も選択しない、ただ結果としての選択が起こるだけなのだ、と言ったのである。しかしスペンサーはダーウィニズムを社会決定論的に読みかえていた。

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2008年4月 2日 (水)

日本初期近代(徳川期)における「勤勉革命 Industrious Revolution 」(2)

■社会的紀律化 (Sozialdisziplinierung)とはなにか

社会的紀律化とは、近代ヨーロッパの成立過程を「紀律 (disciplina)」」の深化と拡大という観点から描き出した概念である。類似の概念としてはマックス・ヴェーバーの「合理化」やノルベルト・エリアスの「文明化」があるが、これらは社会経済的諸関係の長期変動のプロセスを外在的・社会学的に記述したものであった。
 これに対して、社会的紀律化の概念的特徴は、客観的要素にとどまらず同時代人の意思や行動といった主観的要素までも含めた形で、政治・経済・社会・文化のあらゆる局面で進行した秩序形成と自己抑制のプロセスを内在的・歴史的にとらえようとする点にある。その意味において、社会的紀律化の概念は、精神史・国制史・社会史を綜合し、国家権力から中間的諸権力をこえて民衆の心性までも射程におさめた包括的な分析枠組といえる。
勝田有恒/森征一/山内進編著『概説西洋法制史』ミネルヴァ書房(2004年)、p.226

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2008年3月29日 (土)

日本初期近代(徳川期)における「勤勉革命 Industrious Revolution 」(1)

■「勤勉革命 Industrious Revolution 」とはなにか

江戸時代の農業生産力の上昇は、間作・裏作や二毛作による土地利用頻度の高度化という点ではイングランドに似ていたが、経営規模の縮小、家畜利用の減少という点では正反対の方向に向かっていた。労働節約的ではなく、牛馬の代わりに家族労働力を惜しみなく注ぎ込む、労働集約的な発展経路を進んだのである。
 このような変化を速水融氏は「勤勉革命」(Industrious Revolution)と呼ぶ。密植に耐える水稲農耕が土地節約的農業を可能にしていたという生態学的な条件を前提にして、人口密度が高く、耕地・人口比率が低かったことが、土地利用の高度化と投下労働量の増大からなる労働集約的農業を生んだのである。産業革命 (Industrial revolurtion)の労働節約的な性格と対比させて「勤勉」を強調したのであるが、その内実は、長時間の激しい労働であった。
鬼頭宏『文明としての江戸システム』日本の歴史19、講談社(2002年)、p.275

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