川北稔

2012年9月29日 (土)

川北 稔 『砂糖の世界史』1996年〔要約〕

著者     川北 稔
書名     砂糖の世界史
出版社     岩波書店
発行日     1996/7/22
ページ数     208ページ
備考     岩波ジュニア新書 No.276

■プロローグ 砂糖のふしぎ
 世界中どこでも好まれ売れる商品、それを「世界商品」という。だから世界商品を独り占めにできれば巨大な利益を得られる。実は、十六世紀いらいの世界の歴史はそのときどきの世界商品をどこの国が握るか、という競争の歴史として展開してきた。そのもっとも初期の例が、ほかでもない砂糖だ。

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2012年1月30日 (月)

身分再考(2)

「プディングの味は食べてみなければわからない」という有名な言葉がありますが、プディングのなかに、いわばその「属性」として味が内在していると考えるか、それとも食べるという現実の行為を通じて、美味かどうかがそのつど検証されると考えるかは、およそ社会組織や人間関係や制度の価値を判定する際の二つの極を形成する考え方だと思います。身分社会を打破し、概念実在論を唯名論に転回させ、あらゆるドグマを実験ふるいにかけ、政治・経済・文化などいろいろな領域で「先天的」に通用していた権威にたいして、現実的な機能と効用を「問う」近代精神のダイナミックスは、まさに右のような「である」論理・「である」価値から「する」論理、「する」価値への相対的な重点の移動によって生まれたものです。
丸山真男 『日本の思想』岩波新書(1961年) 、p.157

 《身分の溶解》が都市化やぜいたく禁止法の廃止と関連することを指摘するのは、川北稔*である。

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2011年11月21日 (月)

資本主義の生成と都市化

 川北稔は、その著書でこう述べている。

 これまでの経済史では、近代的な経済成長の開始は、おおむね工業化の「もう一つの顔」ように見られてきました。しかし、事を生活文化という観点から見れば、つまり、消費の側から見れば、成長を推進してきたのは、都市化そのものなのです。川北著、p.82

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2011年6月19日 (日)

川北稔『イギリス近代史講義』講談社現代新書(2010年)〔その6〕

■Max Weber を巡る「東大 vs. 京大」

 京大系の西欧経済史の人々には、東大系の大塚史学への反撥があるためか、あえて言えば、 Max Weber の過小評価への歪みがある。それはそれでかつての「聖マックス」幻想という「呪術の園 Zaubergarten からの解放」的な効果はあった。しかしそういったことも今では昔語りだ。それなら、気兼ねなく、Weber の業績のうち、使えるものは多いに使わせて貰うにしくはない。

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2011年6月 7日 (火)

川北稔編『知の教科書 ウォーラーステイン』講談社選書メチエ(2001年)

 以下は、

川北稔編『知の教科書 ウォーラーステイン』講談社選書メチエ(2001年)

に関する読書メモ。

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2011年5月 5日 (木)

「歴史学は未来学である」 川北稔

 歴史学者川北稔氏が、2011年4月7日(木)、朝日新聞オピニオン欄に、東日本大震災について「歴史のいま」と題したインタビュー記事を掲載されている。私自身は既に大新聞も小新聞も読まなくなって久しいが、ありがたいことにこの含蓄深い記事全文をスキャンしてブログに貼り付けて下さっている方がいらっしゃる。下記。

★ 江戸時代……それも悪くない: Goeche's Blog

 全文を読まれるべきだと考える。が、重要なポイントだけ我流に箇条書きにしてみる。

①電力不足問題は、東京プロブレムである。したがって、この禍を福と転じるために、「むしろ企業や役所や大学の一部を「地方」に分散して東京の電力需要を減らすことが大事」だといい、これが「バランス回復の早道であり、そうすれば日本の姿もいくらかよくなる」と指摘する。

②近代世界システムは、18世紀ロンドンのように「政治・経済・文化すべて」を「一極に集中」させた。一方で、「当時の世界システムの外にあった日本では、政治=江戸、経済=大坂、文化(権威)=京と中心が三つの都に分かれていて、安定した、いいかたちだった」のに、「開国後、世界システムに巻き込まれるなかで日本も一極集中が進んでいった」。

③日本は、1755年リスボン大震災後のポルトガルのように徐々に没落するのかもしれない。「ただし、それが不幸かというと、話は別」だ。「ある意味で安定し、人々は幸せな人生を送」れるのではないか。「もっとも、それを「安定」と受け止めるためには我々の価値観、メンタルな部分が変わる必要」がある。「中国に追い越されてしま」うだの、「東アジアの盟主の地位が危ない」だのという、No.1症候群=成長パラノイアから脱却しなくては、「被災後」を「うまくやっていくこと」などできないだろう。

 ①は、この記事の前にポストした記事の中で、石橋神戸大名誉教授が述べていた、「そもそも日本列島に居る限り、地震と共存する文化(文明)というものを確立しなければならない」という発言と、期せずして符合するものがあるだろう。

 ②は、近代世界システムにおいては、西欧主権国家と植民地、という《中核-周辺》構造が、巨大首都(ロンドン、パリ、ベルリン、東京etc.)と「地方」、という国家内《中核-周辺》構造に、再帰的に投射されることを我々に気付かせてくれる。「江戸」が「東京とうけい」となり、「禁裏様」が「大元帥閣下」となって、高御座(京都御所紫宸殿)が「宮」ならぬ「宮城」(古来、禁裏は城などに起居しない)に移されたこと*は、明治の権力ブローカー達が、自覚せずにこの列島を近代世界システムにプラグ・インした瞬間だったと解釈できる。

*参照 和辻哲郎「日本古来の伝統と明治維新の歪曲について」(2)

 ③この点、下記のブログ記事とその賛同者を見ると、「朝まで(アホ)テレビ」のシンボリック・エリートやマスコミ人種の中に皆無でも、市井の中には膨大な(潜在的)支持者がいるのではないか、と希望が感じられる。

バイバイ原発: かわうそ亭

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2010年12月25日 (土)

コスモポリスの転換 ( Transformation of Cosmopolis )

 村上淳一氏描くところの、Stephen Toulmin, Cosmopois : The Hidden Agenda of Modernity, 1990  の要約。

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2010年12月22日 (水)

「番付」の世界観

 川北稔氏のイギリス近代史講義 (講談社現代新書) から受けた重要な示唆に、《表 table 》と成長パラノイアとの関連がある。

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川北稔『イギリス近代史講義』講談社現代新書(2010年)〔その5〕

■富の定義

 そろそろこの書評も終わりにしようと思っている。その一方で、言いたいことや書きたいことがいろいろあるような気がして、頭の中のモヤモヤを整理できずにズルズルと結語を書けずにいる。

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2010年12月12日 (日)

Of the Stationary State

J.S.Mill, Principles of Political Economy(1848)*、にこういう一節がある。

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