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2005年5月 3日 (火)

佐野英二郎『バスラーの白い空から』1992年〔1〕

 表題作の「バスラーの白い空から」で、筆者が出会うビジネスマンの中に、ふと自分と同じ旧海軍軍人のにおい嗅ぎ取る場面があります。お互いにそれを感じ取りながらも、あえて互いに触れずまた別れていきます。そこに、戦争に青春を賭けざるを得なかった世代の国を超えた共感と痛みが、控えめだが動かざるものとして込められていました。痛切さも自分の存在の一部であることを改めて知らされる場面です。
 皆さん、是非、ご一読を。

佐野英二郎『バスラーの白い空から』青土社(2019/03/09)81lmt4zkpil_sl1500_

〔参照〕
佐野英二郎『バスラーの白い空から』1992年〔2〕:本に溺れたい
佐野英二郎『バスラーの白い空から』1992年〔3〕: 本に溺れたい

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» バスラーの白い空から [かわうそ亭]
『バスラーの白い空から』佐野英二郎(青土社/ 1992)に収録された主な文章はつぎの五編である。   わがセバスチャン   西アフリカの春   セバスチャンが死んだ日   バスラーの白い空から   サン・セバスチャンに雪の降る夜半 「セバスチャンが死んだ日」をのぞくと、残りの四編は詩人の高橋順子さん... [続きを読む]

受信: 2005年12月 1日 (木) 17時23分

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