問題は《郵政》ではなく《郵貯》(2)
国債の増発、累積は、将来世代の負担を増やすのだから、そんな無責任なことはやめましょう、とか財務省はいいますが、現状はそんな悠長なことを言っている場合ではありません。毎年毎年の国家の資金繰りそのものが綱渡り状態なのです。これまでは、結果的に郵貯に引き受けてもらうことで、新発国債を市中消化し、利払い、償還、赤字財政の穴埋め、をしてこれました。
だから、本当に真っ正直に、郵貯を私有化し、私的資本による株式会社化してしまったら、あっという間に、国家財政の資金ショートが発生します。それは、
1)国債の暴落
2)長期金利の急上昇
3)株式相場の暴落(どのくらい下がるか見当もつかない)
4)超円安
5)輸入品(特に原油)を中心とする強烈な物価上昇
5)国内物価のハイパーインフレ
6)企業倒産の連鎖、失業率急上昇
7)公務員の首切り、給料遅配、モラルの低下、警察力の低下、治安悪化
という結果、つまり、恐慌=日本経済の崩壊、ですな。
ただし、政府短期証券が今年三月末現在で、96兆円残高があります。これはほぼ、外国為替相場への介入資金で、その円売りドル買い操作で仕入れたドルは、まるまる米国債に振り向けられていますから、現在の相場1ドル=111円くらいで換算すると、8600億ドルほど。ただし、ここにはかなりの含み損もあるので、うーん、詳しくはわからないけど、8000億ドル前後はあるでしょう。
すると、小泉・日本政府も座してデフォルト(債務不履行)を宣言するぐらいなら、ブッシュ・アメリカ政府と心中する覚悟で、保有米国債を投売りすることだって可能ですね。すると、ドルと円は連れ安で、ユーロの独歩高、って事もあるでしょうが、世界経済、第1位と第2位の国家が破綻したら、世界大恐慌ですから、無傷に住む国はどこにもないと考えたほうが合理的です。
そこまでの覚悟あっての「郵政《民営化》」だったのかどうなのか?
| 固定リンク
「日本 (Japan)」カテゴリの記事
- 有田焼のマグカップ/ Arita porcelain mug(2024.04.25)
- 佐藤竹善「ウタヂカラ CORNERSTONES4」2007年CD(2024.04.18)
- Taxman (The Beatles, 1966)(2023.11.30)
- LILIUM: ラテン語によるアニソン/ LILIUM: The anime song written in Latin (2)(2023.11.28)
「金融 (credit and finance)」カテゴリの記事
- Glorious Revolution : Emergence of the Anglo-Dutch complex(2023.05.13)
- 「人文系“ワープア博士”」向けクラウドファンディング(2020.09.27)
- 最近の外国為替相場について(2018.05.11)
- 中島真志 著『アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』2017年10月新潮社(20180301追記)(2018.02.28)
- 日本銀行のバランスシート(2018.01.15)
コメント