《週》の感覚
現代日本人の日常的なスケジュール感覚は、《週 week 》ではなかろうか。これには仕事や学校の週休との直接的関連が強そうだ。また、子どもたちの場合なら、テレビ番組の週間プログラムの影響から、「今日は、何々がある日だから、何曜日」とうこともあろう。
それでは、《週 week 》の感覚がいつ日本に入ってきたのか。
起源はわかっている。週日制が官庁で勤務単位として採用された明治9(1876)年4月からである。普及に力があったのは、学校の時間割。旧陸軍の内務班生活規律(週番、教練の休み=水曜土曜の午後と日曜、外出許可=日曜)。そして、工場勤務。
学校、軍隊、工場。どれもが19世紀以降、全世界を紀律化する動因となっている。日本もその例外ではなかった。特に、日本では、明治クーデタ政権が、生活のあらゆる面でその支配を全日本人に内面化する有力な梃子(てこ)となった。
では、それ以前の日常的なスケジュール感覚はなんだったのかが、今ひとつわからない。暦法を構成する基本的周期は日,月,年であるから、日と月の中間のスケジュール感覚はなかったと考えるほうが適切なのかもしれない。
何かご存知の方、ご教示頂けると助かります。
| 固定リンク
「明治 (Meiji)」カテゴリの記事
- 明治29年のライブニッツ/ Leibniz in Meiji 29 (1896)〔村上俊江氏肖像を追加20231217〕(2023.02.25)
- ‘Unity of Image’ 、「能」から「Imagism」へ / 'Unity of Image' : from 'Noh' to 'Imagism'(2020.10.16)
- 漱石に息づく《朱子学》/ Cheng-Zhu living in Soseki(2020.09.24)
- 「戦後進歩史観」=「司馬史観」の起源について(2020.09.21)
- 近代日本の史家の生没年(2020.09.21)
「日本 (Japan)」カテゴリの記事
- 有田焼のマグカップ/ Arita porcelain mug(2024.04.25)
- 佐藤竹善「ウタヂカラ CORNERSTONES4」2007年CD(2024.04.18)
- Taxman (The Beatles, 1966)(2023.11.30)
- LILIUM: ラテン語によるアニソン/ LILIUM: The anime song written in Latin (2)(2023.11.28)
「文化史 (cultural history)」カテゴリの記事
- 20世紀におけるドイツ「概念史」とアメリカ「観念史」の思想史的比較 / A historical comparison of the German “Begriffsgeschichte” and American “History of Ideas”of the 20th century(2024.11.19)
- 金木犀と総選挙/ fragrant olive and the general election(2024.10.21)
- 虹 rainbow(2024.03.09)
- 河津桜(2024.03.03)
- 沢田マンション:日本の カサ・ミラ〔1〕/Sawada Manshon: Casa Milà, Japón〔1〕(2023.09.19)
「思想史(history of ideas)」カテゴリの記事
- 「資本主義」の歴史的起源/ The Historical Origins of “Capitalism”(2024.11.22)
- 「ナショナリズム」の起源/ The Origin of “Nationalism”(2024.11.21)
- 20世紀におけるドイツ「概念史」とアメリカ「観念史」の思想史的比較 / A historical comparison of the German “Begriffsgeschichte” and American “History of Ideas”of the 20th century(2024.11.19)
- 比較思想からみた「原罪」(peccatum originale/original sin)| Original Sin from the Perspective of Comparative Thought(2024.10.31)
- Michael Oakeshott's Review(1949), O.S.Wauchope, Deviation into Sense, 1948(2024.08.17)
「言葉/言語 (words / languages)」カテゴリの記事
- 20世紀におけるドイツ「概念史」とアメリカ「観念史」の思想史的比較 / A historical comparison of the German “Begriffsgeschichte” and American “History of Ideas”of the 20th century(2024.11.19)
- Words, apophatikē theologia, and “Evolution”(2024.08.26)
- 変わることと変えること/ To change and to change(2024.02.16)
- 「ノスタルジア」の起源(2023.05.08)
- Origins of 'nostalgia'.(2023.05.08)
コメント
ハラナさん 亀レスです。徳川も末期になると、地方によっては、一年の1/3近くが休みになっている農村もありました。下記をご参照下さい。
近世の村は、週五日制?
https://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2005/10/post_113b.html
ですから、
「村まつりなど、非日常以外は、ずっと労働日だったとか」
の言は、訂正を要すると思います。
投稿: renqing | 2006年2月20日 (月) 01時53分
■『ウィキペディア(Wikipedia)』の「週(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%B1)」には、「一般に、1週を7日間としているのは、聖書で、創造主が世界を6日間で創り上げ7日目に休暇をとったから、という説明がされるが、実際には、天球上を移動する太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星の7つの天体、いわゆる七曜(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%83%E6%9B%9C)が由来」とあります。
■それと、おそらく太陽暦が一般化するまえは、ほとんどの暦法は太陰暦によっていたはずで、月の満ち欠け/干満の周期が7ないし7.5の2倍、4倍というかたちで、認識されていはずです。
■もちろん、これらの問題と、西欧近代の時間リズムである1週間という生活リズムの日本列島への定着が別次元にあることは、たしかです。■村まつりなど、非日常以外は、ずっと労働日だったとか、盆暮れ以外に、やすみなどないというのが、商家の小僧さんたちの「リズム」だったとききますし。
投稿: ハラナ・タカマサ | 2006年2月13日 (月) 12時50分