« 《祀る神》vs.《祀られる神》 | トップページ | 菅生浩『巣立つ日まで』ポプラ社(1974) »

2005年10月12日 (水)

和辻哲郎の明治維新批判

 下記の本に、和辻の明治維新批判エッセイがあります。軽いものですが、核心をついた批判だと思います。

講座現代倫理〈第11巻〉転換期の倫理思想(日本) (1959年)
筑摩書房刊、所収
 和辻哲郎 「日本古来の伝統と明治維新の歪曲について」
  1.紀元節の問題
  2.宮城の問題

1.の文中に、
  ”しかし武力を以て幕府を倒した「武士」たちは、”
とわざわざ括弧書きで「武士」と憎憎しげに書いてます。

同書の最後に、

「共同討議日本における危機意識の特質 」
 竹内好、石母田正、鶴見俊輔、中村光夫、丸山真男

という、ご近所座談会が掲載されているのも一興です。

 そこで、丸山は、幕末明治初年は客観的には植民地化の危機はなかったが、明治20年代(1880年代)になって現実化してきた、と考えているようです。その点、石母田正も、日本の植民地化の危機は明治維新過ぎてから、と発言してます。

 和辻は、お公家さんが好きで、武士が嫌い、丸山は、武士が好きで、和辻を毛嫌いしていたようですので、好対照といえます。

〔参照〕
和辻哲郎「日本古来の伝統と明治維新の歪曲について」(1)
和辻哲郎「日本古来の伝統と明治維新の歪曲について」(2)

〔註〕下記も参照されたし。
《祀る神》vs.《祀られる神》

|

« 《祀る神》vs.《祀られる神》 | トップページ | 菅生浩『巣立つ日まで』ポプラ社(1974) »

日本 (Japan)」カテゴリの記事

文化史 (cultural history)」カテゴリの記事

思想史(history of ideas)」カテゴリの記事

幕末・明治維新」カテゴリの記事

和辻哲郎(Watsuji, Tetsuro)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 和辻哲郎の明治維新批判:

» そうだ、奈良へ、行こう。 [微熱日記]
和辻哲郎の『古寺巡礼』、これは、新しい本です。何が新しいといって、倫理学徒であっ [続きを読む]

受信: 2006年2月19日 (日) 11時14分

« 《祀る神》vs.《祀られる神》 | トップページ | 菅生浩『巣立つ日まで』ポプラ社(1974) »