《弁護士》として逮捕された西村議員
弁護士による、あるblog記事に重要な指摘がありましたので、問題点を共有したいと考え、重複を恐れず、記事化します。
その記事とは下記です。
上記記事の主旨はこうです。
西村議員が逮捕された。それはあたかも、よくある国会議員の政治スキャンダルのように見える。しかし、そこには隠された意図がある。それを理解するには、本事件の違法立件に使われた法律をみなければならない。それは、二種類ある。
1)弁護士法違反
2)組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受罪)
問題は、2)である。これで重要なことは、弁護士に対して組織的犯罪処罰法を適用して検挙したのは、初めてケースだということ。そして、特に「犯罪収益等」が重要。
ある収益が犯罪によって得たものかどうかを判断するための前提を、前提犯罪という。
そして、その前提犯罪に関して、これを懲役4年以上の犯罪の全てに拡張する法案が国会で継続審議中であり、それこそが、例の《共謀罪》新設を含む「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」である。
この改正が恐ろしい点は三つ。
①「犯罪収益」が極めて広い前提犯罪から生じること。
②ということは、「犯罪収益」の認定もだだっ広くなり、かつ、「朱に交われば赤くなる」で、その超広義の「犯罪収益」が少しでも混じった「混和財産」から、それと知って、弁護士報酬を受け取っちゃったら、「犯罪収益等収受罪」が成立してしまうこと。
③ということは、犯罪被疑者から依頼されて弁護をしようという私選弁護人はいなくなってしまう、ということ。現に、同様の法律のある米国でも、被訴追の危険から、麻薬密売人の弁護人が不足し、被疑者の弁護を受ける権利が侵害されている。
そして、結論は
「弁護士であっても、決して、犯罪収益等収受罪適用の例外にはしないという大阪地検特捜部の宣言に他ならない」
である。
つまり、お上に楯突く《弁護士潰し》*の前触れと考えられる、ということです。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 共和制の理解のために(2006.01.24)
- 厚生労働省は二度赤ちゃんを殺す(2006.01.07)
- 明治エリートの起源(2006.01.03)
- 《弁護士》として逮捕された西村議員(2006.01.03)
- ネットで読める靖国判決(リンク訂正につき再up)(2007.05.05)
「日本 (Japan)」カテゴリの記事
- Alfred Schutz, "Some Equivocations of the Notion of Responsibility" (1957)(2025.06.02)
- アルフレッド・シュッツ「《責任》という概念におけるいくつかの曖昧さ」1957年(2025.06.02)
- 日米安保条約を解消すると浮く予算は?(2025.05.11)
- Does the Imperial Anthology of Poetry exist in Europe?(2025.02.28)
- 欧州に《勅撰詞華集》は存在するか?/ Does the Imperial Anthology of Poetry exist in Europe?(2025.02.28)
「憲法 (constitution)」カテゴリの記事
- 大日本帝国憲法(2025.06.03)
- 日米安保条約を解消すると浮く予算は?(2025.05.11)
- To Not Lose Hope: "Focus on What You Can Control"(2025.04.20)
- 希望を失わないために:「自分がコントロールできることに焦点を当てる」(2025.04.20)
- Douglas MacArthur's “The Japanese at 12” (1951)(2025.01.11)
コメント
ビートニクスさん、どうも。官僚による立法技術はほとんど詐術です。これには、弁護士を初めとする実定法専門家に対抗してもらわないと、こちとら素人は簡単に手を捻られてしまう。貴blogの活動は極めて重要です。こちらこそよろしくお願いします。そのうち、骨抜き中の日本国憲法に、背骨を入れる作業のご相談に押しかけます。例えば、第34条に、外部交通権の復活(GHQ案にはあった)、逮捕拘留中の弁護人接見の保証、等です。(^^v
投稿: renqing | 2006年1月 4日 (水) 03時57分
はじめまして。トラックバックありがとうございました。そして、私のブログの内容をご紹介いただき、ありがとうございました。この問題意識を多くの人と共有できればと思います。
今後とも宜しくお願いします。
投稿: ビートニクス | 2006年1月 4日 (水) 03時36分