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2006年3月21日 (火)

大虐殺(1960年、小森白監督、天地茂主演)

 標題の映画は、1923年9月1日の関東大震災の直後におこった朝鮮人虐殺事件を描いたもの。で、私もまだ未見。もし、既にご覧の方は、ご感想などコメントして戴けると助かります。下記の 「all cinema」記事も参照。

大虐殺(1960年、小森白監督、天地茂主演)

 この事件の被害者数だが、平凡社世界大百科事典(「朝鮮人虐殺事件」今井清一執筆)によれば、

「朝鮮罹災同胞慰問班が10月末日までに調査し,これにもとづいて吉野作造がまとめたものでは2613人を数える。これにその後の調査をつけ加えたものは6433人に達している。」

という。うーん、実質的に一週間の出来事だから(なぜなら、9月7日あたりから、警察・軍は押さえにかかったから)、これは相当なものだ。

 虐殺ということでは、映画「ホテル・ルワンダ」での虐殺事件も記憶に新しい。映画は未見だが、NHKのドキュメンタリーは見ているので概要は承知している。

 どちらも、マス・メディア(朝鮮人虐殺は新聞、ルワンダはラジオ)がらみなのは共通か。

 朝鮮人虐殺事件については、民衆が加担している事もあって、日本人自身による検証が進んでいない気もする。ただし、この事件を、衆議院で政府の責任を追及し,最も人道上悲しむべき大事件として、その真相を明らかにして謝罪することを主張した政治家もいた。

田淵豊吉 ( 「いちず」WWW版 和歌山

 ルワンダについては、独立間もない、良き一時期を活写した、名著がある。

服部正也 『ルワンダ中央銀行総裁日記』 中公新書(No.290)、1972年

この本の後、何があって、あの大虐殺を生み出したのか。

 日本近代史上、国内最初の虐殺は、戊辰戦争における、官軍による会津城下でのものだろう。これは、朝鮮人虐殺事件関連のみすず書房の資料集などに眼を通せたら、あわせて再論したい。

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はいはい野球が終わってよかったですよ、以上終了。 けど、これまたワールドカップはいろいろあるだろうから、いろんな偏狭ナショナリズム厨が湧き出してくるんだろうなあー。まあ、それはそれでどうでもいいことなんだけれども。 さて、ちょっと出遅れたけど、こんなものが今日のトップにて 排外的愛国主義にコミットするのは、日本に限らず、低所得ないし低学歴層に偏ります 丸山眞男によれば、亜インテリこそが諸悪の根源です。日本的近代の齟齬は、すべて亜インテリに起因すると言う... [続きを読む]

受信: 2006年3月26日 (日) 16時26分

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