羽入辰郎 『マックス・ヴェーバーの犯罪』 ミネルヴァ書房 2002(2)
実は、私は標題の著書をまだ読んでいない。ただし、下記は8年前に読んでいる。
羽入辰郎「マックス・ヴェーバーの『魔術』からの解放─『倫理』論文における"Beruf"-概念をめぐる資料操作について」
『思想』 1998年 885号 72-111
で、この件については、その数ヵ月後、沢崎堅造氏の仕事に気がついたので、岩波書店の『思想』編集部に手紙を送って指摘をした。しかし、当然というか、なしの礫だった。8年経過した今もないので、きっと破棄されたのだろう。
羽入氏の著書の《事件》性について、下記にちょっとした回顧談があるので、ウェーバー業界における波風についてはそちらを参照されたい。
矢野善郎「『プロ倫』は、再び『旬』か、それとも『賞味期限』か」
創文社刊 『創文』 2005.11 NO.481
この事件(=羽入氏の著書)を全体として公平に判断するとしたらどうなるか。いまのところ、私の感触としては、下記の梅津順一氏の評言*が妥当なところではないかと考える。
「羽入氏の研究は,ヴェーバー批判という枠組みから離れて,『聖書翻訳と職業義務の思想の成立』という主題で纏められるのであれば,大きな学問的寄与となるであろう。」
| 固定リンク
「書評・紹介(book review)」カテゴリの記事
- ドアを閉じる学問とドアを開く学問/ The study of closing doors and the study of opening doors(2024.10.27)
- 柳田国男「實驗の史學」昭和十年十二月、日本民俗學研究/ Yanagida Kunio, Experimental historiography, 1935(2024.10.20)
- リア・グリーンフェルド『ナショナリズム入門』2023年11月慶應義塾大学出版会/訳:小坂恵理, 解説:張 彧暋〔書評③〕(2024.09.23)
- リア・グリーンフェルド『ナショナリズム入門』2023年11月慶應義塾大学出版会/訳:小坂恵理, 解説:張 彧暋〔書評②〕(2024.09.18)
- リア・グリーンフェルド『ナショナリズム入門』2023年11月慶應義塾大学出版会/訳:小坂恵理,解説:張 彧暋〔書評①〕(2024.09.16)
「Weber, Max」カテゴリの記事
- Seki Hirono, Unearthing the Forgotten History of Ideas, 1985(2024.07.14)
- 関 曠野「忘れられた思想史の発掘」1985年11月(2024.07.13)
- Two Europe(2022.12.22)
- 価格を決定するものは、「需要」ではなく、「費用」である(2)/ What determines price is not "demand" but "cost" (2)(2022.12.17)
- The future as an imitation of the Paradise(2022.10.30)
「羽入辰郎 (Hanyu, Tatsurou)」カテゴリの記事
- 待つ身は辛い(3)(2008.08.26)
- 待つ身は辛い(2)(2008.07.11)
- みすず書房、における知的誠実性(2)(2008.05.13)
- みすず書房、における知的誠実性(1)(2008.05.12)
- 待つ身は辛い(2008.05.01)
コメント