ノイマン『政治権力と人間の自由』河出書房新社 1971
政治権力と人間の自由
フランツ・ノイマン( H.マルクーゼ編)
訳 内山秀夫、三辺博之、倉沢康一郎、萬田悦生
河出書房新社 1971
p.128
・・・、立憲主義理論は、カリスマ理論を除くどのような国家理論とも結合されうる。それはただ、国家の実定法の上位にあると考えられる規範体系によって、主権を制限しようとする欲求を内容とするものである。立憲主義理論発展の軌跡は明瞭である。それはストアの自然法からローマ法学者およびキケロにいたり、中世の法思想および政治思想に滲透し、さらにフランスの啓蒙主義理論にいたっている。
p.129
・・・。したがって、立憲主義は三つの要素からなりたっている。楽観的自然法、機械論哲学 - すなわち抽象的一般規則によって国家と市民間の計算可能なそして予測可能な関係を用意できるという信念 - および古い伝統に体化されたコモン・ローがそれである。同様に立憲主義は三つの形態をとる。ドイツ的法治国家の形態。ここでは権利は一般意思を形成する市 民参加によって保持されるのではなく、高度の計算可能性を用意する精緻な法体系を作ることによって保持される。イギリスの議会主権理論および法の支配形 態。ここでは生命、自由、財産の保護は何よりも、立法権の民主的起源とコモン・ローの伝統によって確保される。最後にアメリカの司法権優位の形態。これは 立法行為の審査、さらには行政決定まで審査の対象としようとすることによって、権利を保護する。
以上、「第3章 自然法の諸形態」、より。
目次
序文 ヘルベルト・マルクーゼ
第1章 政治権力研究へのアプローチ
第2章 近代社会における法の機能変化
第3章 自然法の諸形態
第4章 モンテスキュー
第5章 市民的不服従の限界について
第6章 政治的自由の概念
第7章 知的自由と政治的自由
第8章 連邦国家の理論について
第9章 独裁制の理論にかんする覚書
第10章 二十世紀における経済と政治
第11章 不安と政治
フランツ・ノイマン著作抄録
訳者あとがき
翻訳書 原本
Democratic and Authoritarian State
Franz L Neumann
Free P, US ; ISBN: 0029229103 ; (1964)
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