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2006年4月 9日 (日)

組織における世界像分業(2)

塩沢由典『複雑さの帰結―複雑系経済学試論』NTT出版(1997/06)
「5 組織における世界像分業」より、引用

p.165
 世界像(Weldbild)とは、おおげさなことばであるが、すべてのひとはかれ自身の世界像をもっている。かれはこの世界像に基づいて、さまざまな出来事を秩序付け、問題を発見し、環境に働きかける。人間は、社会化の過程でこのような世界像の基礎を作り出し、その共通の世界像を手掛かりにして他者とコミュニケートする。ところで、組織はそれが専門化された職業人によって担われるようになると、かれらはたんに作業において分業するばかりでなく、世界の認識においても分業するようになる。すなわち、職業上の必要に応じて、課題を分割して負担し、協力するようになる。

p.166
・・・。成員がそれぞれ少づつ違う世界をカバーし、相互に協力することで、組織ははじめて、個人が認識する容量をこえる知識の獲得・利用が可能になる。

p.168
・・・。組織におけるコミュニケーションの重要性については、わたしがここで強調するまでもない。ただ、それはこれまで主として 組織の意思決定規則と成員間の情報伝達とに考察の焦点を絞ってきた。しかし、意思決定も情報の処理も(とくに知識化)も、じつは成員の世界像に依存し、そ れに働きかける作業である。その意味では、成員に分担される世界像の相互関係の研究は、組織におけるコミュニケーション論の先決問題でもある。

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