Good-bye America…you are not the country that I love.さようなら、アメリカ。あなたは私の愛する国ではありません。(参照追記)
2005年8月から、ブッシュ米大統領のテキサス州クロフォードの自宅農場前に座り込みし、米軍のイラク撤退を掲げ、抗議運動を続けてきたシンディ・シーハンさんが活動からの引退を表明した。↓参照。
<反戦の母>シーハンさん引退宣言 米国の政治状況批判
5月30日11時26分配信 毎日新聞
市井の誠実な、しかし非凡な勇気を持つ、一人の女性の、触れれば血が吹き出るような言葉を読んで戴きたい。
原文 "Good Riddance Attention Whore" By CindySheehan
(再掲されたものだが、ソースになったサイトより読みやすいので)
翻訳 さようなら、アメリカ。 シンディ・シーハーン「引退」メッセージ全文
(どすのメッキー氏による訳。訳者が題を変えてある。あまりの言葉のため。ただ、これは彼女が最後に投げつけた毒なのであるから、彼女の気持を忖度するならあえて訳出すべきだったろう。訳中の言葉を使えば「厄介払い 目立つ売春婦」。)
ひとつとても重要で、かつ印象的な文を引いておこう。今の米国で、国論が極めて変更しにくいのは、この党派性のためだと改めて感じた。日本の政治状況も同じ。同様の構図にはまり込んでいるということなのだろう。
I guess no one paid attention to me when I said that the issue of peace and people dying for no reason is not a matter of "right or left", but "right and wrong.
「平和と人間の理不尽な死に関する問題は、『右か左か』ではなく、『善か悪か』の問題です」と私は言いましたが、誰も耳を傾けてくれなかったと思います。
*下記の、宮沢賢治の言葉は、戦闘というものが、結局、殺人そのものなのだ、ということを示してあまりある。参照されたし。
| 固定リンク
「米国 (United States of America)」カテゴリの記事
- 20世紀におけるドイツ「概念史」とアメリカ「観念史」の思想史的比較 / A historical comparison of the German “Begriffsgeschichte” and American “History of Ideas”of the 20th century(2024.11.19)
- 対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案(昭和十六年十一月十五日/大本営政府連絡会議決定)/Japan's Plan to Promote the End of the War against the U.S., Britain, the Netherlands, and Chiang Kai-shek 〔November 15, 1941〕(2024.06.02)
- 「戦後神話」:なぜ昭和日本人は米国好きか?/ The Postwar Myth: Why do Showa Japanese Love the U.S.?(2024.04.14)
- 戦後日本の食料自給率なぜ低下したか?/ Why did Japan's food self-sufficiency rate decline after World War II?(2023.09.18)
- Seki Hirono and Feminism (2)(2022.05.08)
「戦争 (war)」カテゴリの記事
- 薔薇戦争と中世イングランドのメリトクラシー/The War of the Roses and the Meritocracy of Medieval England(2024.11.28)
- 対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案(昭和十六年十一月十五日/大本営政府連絡会議決定)/Japan's Plan to Promote the End of the War against the U.S., Britain, the Netherlands, and Chiang Kai-shek 〔November 15, 1941〕(2024.06.02)
- イスラエルの戦争犯罪は続く・・・/ Israel’s war crimes will continue.(2023.11.29)
- いじめ、紅衛兵、内務班(2022.09.30)
- For what purpose does our country go to war?, by Akiko Yosano, 1918(2022.05.19)
コメント
まつもと さん、どうも。
じわっと、日本のアメリカ化が昂進している様は、国民生活基礎調査からも伺えます。
「システム」についてはまた別途に。
投稿: renqing | 2007年6月 5日 (火) 13時26分
> 「システム」というのは、何らかの実態的なものではなく、我々が世界を見るときの世界、価値の枠組み、のことなんでしょう。
いえ、私には具体的で生々しいものに感じられます。すべてが2大政党やエスタブリッシュメントたちの縄張りゲームに収斂され、そのルールに従わないものには声を与えない自己完結的な「業界」の政治、それを支えるアメリカ人の「信仰」とそれを再生産するマスコミや教育などの総体を「システム」と呼んでいるのだと思います。とくにこの本を読んで、その感を深くしました。
超・格差社会アメリカの真実
http://www.amazon.co.jp/%E8%B6%85%E3%83%BB%E6%A0%BC%E5%B7%AE%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E5%B0%8F%E6%9E%97-%E7%94%B1%E7%BE%8E/dp/482224542X/ref=sr_1_1/503-4336621-6729509?ie=UTF8&s=books&qid=1181016511&sr=8-1
最終章にはちょっとオヤ?と思いましたが、示唆に富む本だと思います。
投稿: まつもと | 2007年6月 5日 (火) 13時09分
まつもと さん、どうも。
シーハンさんが「システム」というのは、何らかの実態的なものではなく、我々が世界を見るときの世界、価値の枠組み、のことなんでしょう。
ウォルフレンがかつて、日本というシステム、と評したものと同じものが、アメリカ合衆帝国にもあることの、一つの証左かも知れません。
「あなたは、共和党支持者ですか。それとも民主党支持者ですか。」
「彼女は左よ。あまり付き合わないほうがいい。」
こういう政治上の常識と、共和、民主の二大政党政治を絶えず再生産する、各種の政治マシーンのアマルガム。これが彼女のいうシステムなのだろうと思います。これは、まさに、戦後日本の一党独占政権と政治的右・左観とぴったり接合するものです。
投稿: renqing | 2007年6月 4日 (月) 01時05分
> 訳中の言葉を使えば「厄介払い 目立つ売春婦」
これもおとなしい訳で、意味としては「客引き売女を厄介払い」でしょうね。
死んだ息子のための、また平和への願いからの彼女の活動は、けっきょくアメリカというシステムの一部を構成することでしかなかった、という痛ましい認識を感じさせるタイトルではあります。
アメリカや日本のネット上のコメントを見ても、その痛みを共有するところから出発しようとか、自省を感じさせるコメントはほぼ皆無でした。そこがシステムの「システム」たる所以なのでしょうが。こうした反応が、シーハンさんを二重に傷つけることになることを憂慮します。
もう一つ重要なのは「システムの外に出る」という彼女の言葉です。その回路を探っていくことは、日本人にとっても決して無縁ではないでしょう。
投稿: まつもと | 2007年6月 3日 (日) 23時51分