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2007年6月10日 (日)

政治家にみる「心情」倫理と責任倫理-アベ内閣の場合-

 年金記録紛失問題が、紛糾、混迷の度を深めている。

 アベ内閣総理大臣は、来年5月までに5000万件の全件照合を完了させる予定という。しかし、この問題、当初から、年金問題に詳しい人々が、この期日までには「まず無理」と発言していた。その一方で、閣僚たちは、内閣総理大臣がやる、というのだから、やります、と言う。

 アベちんの「心情」はわからんでもない。今年は参議院議員選挙もあるし。なんとか、ポイントをあげたいのだろう。でも、確たる成算や根拠があるわけでもなさそうなのに、「やるといったら、やります。」では、信条以前の心情のレベル、単なる妄想=「こうなったらいいなぁ。」にすぎない、といわれても止むを得まい。

 アベちんの「やるといったら、ぜぇぇったいにやるぅ。」という発言のため、彼の下僚たちは、どんどん追い詰められている。社会保険事務所は、日曜も年金相談に対応するし、平日も午後7時までやるんだって。しかし、公務員は、民間企業と違い involuntary な残業、つまりサービス残業を、ノンキャリアの公務員にそうそう強制はできない。ということは、単純に考えても、これから相当の残業手当、休日出勤手当の支給も重なろうというものだ。

 たぶん、内部では、費用がいくらかかってもやれ、という状況なんだろう。でも、そのカネはいったいどこから捻出するつもりだったのだろうか。こういう後先のことを考えないできたから、現状のような莫大な財政赤字になったはず。

 アベちんには、政治家としての責任倫理と責任能力の双方が、同時に欠落しているのではないか、という疑念が日に日に強まってくる、今日この頃、である。

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