アジア・カップの敗戦の弁で、日本代表監督オシムは、一つ気になることを言っていた。
日本人は、テクニックがあるというが、トップスピードでボールコントロールできる選手がいない。
その一方で、こういう証言もある。フランス1部リーグ、ル・マンに在籍する松井大輔。
日本人選手は、フランス1部リーグの選手とくらべても、テクニック的に見劣りしない。結構うまい。だけど、そのテクニックの試合での生かし方をしらない。その点、こっちの選手のほうがよくわかっている。
この二つの証言は矛盾するのだろうか。恐らくしないのだろうと思う。試合で相手DFを恐怖に陥れる攻撃は、カウンター時の縦への攻撃だろう。そのためにも、トップスピードでフリーランニングし、そこでロングパスを受けてもスピードを落とさずに、最短距離で相手ゴールに迫る必要があるわけだ。こういうプレイが可能かどうかは、やはり意識してそういう練習をするかどうかにかかっているのだろう。
Jリーグ初期に大活躍した、鹿島のFWアルシンド。彼は、U-20のブラジル代表だったとき、U-20南米選手権でMVPに輝いていたはず。その彼の特徴も、トップスピードに乗っているときのボールコントロールの巧みさだった。それが、あの爆発的な得点力を生み出していたのだと思われる。
同じ鹿島で活躍した、レフティのMFレオナルドが、フランスWCで日本代表が予選リーグ敗退したときに言っていたことを引いておこう。
相手DFにとって最も脅威なのは、縦への攻撃だ。いくら敵ボールでも、横パスだけなら、相手DFにとりあまり脅威にならない。その点、日本代表より韓国代表の攻撃のほうがずっと相手チームにとり脅威だろう。日本代表も、縦への攻撃を意識すべきだと思う。
トップスピードでのボールコントロール。これはつまり、高く維持した守備ラインで相手ボールを奪取し、少ない相手DFへカウンター攻撃の際にものを言うテクニックといえるだろう。
トップスピードでフリーランニングしていれば、来るパスは当然、走っている自分の左右後方からものに決まっている。視野的にも狭いので、ボールを視認しにくい。また、せっかく相手ゴールに向かって縦に飛んでくるボールを、ボールコンロールのためにトラップでとめてしまっては意味がないので、できるだけワンタッチで、迫り来る相手DFを予想しながら、相手DFの足がギリギリ届かない範囲で、己のボールコントロール圏内の、最適な攻撃侵入経路上の自分の前に転がさなければならない。
これは、確かに難易度の高いテクニックだ。しかし、欧州のビッグ・クラブで活躍するトップフットボーラーたちはそれを実践している連中だろう。やはり、普段どのような意識と工夫をもって、練習に臨んでいるかの差の問題なのではなかろうか。
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