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2007年9月 4日 (火)

古典古代の西洋と東洋

 ベルリンの壁崩壊後、ヨーロッパで、共通の歴史教科書を作る動きがあり、すでに生み出されている。それ(下記)を見ると、案の定、ヨーロッパの古典古代としてギリシア、ローマが記されている。

 しかし、近代ヨーロッパの資本主義、ないしビジネス文明を主に形成してきたのは、アルプス以北のプロテスタント的文化であり、それは地中海文明に属する古代ギリシア・ローマとは明確に異なる。それにも関わらず、「我らが偉大なる古典」とされる。

 その一方で、日本はその黎明期から圧倒的な中国文明の影響下にあった。だが、中国の古代古典文明を「我らが偉大なる古典」として、そのまま素直に受け入れられない部分がある。

 それはなぜか。二つの理由が考えられるだろう。

1)古代ギリシア・ローマは、すでに文明として滅んでいること。それに対して、現在地球上で、古代文明の後裔で唯一、中国は健在であること。

2)言語的に、古代ギリシア・ローマは印欧語族に属すが、中国語と日本語はその言語系統を別にすること。

 というところで、次回に。

ヨーロッパの歴史 (Histoire de l'Europe)
欧州共通教科書
フレデリック・ドルーシュ総合編集
木村尚三郎監修、花上克己訳
東京書籍(1994年)

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コメント

またもやご無沙汰しております。
いつも興味深い記事、楽しませていただいております。
エジプト人は、イスラム教徒が大半を占めていますが、観光収入をもたらす「ファラオ」をも信仰しているかのようでもあります。「ファラオは偉大だ。いまだにわれわれを養ってくれる」というのは本音半分の彼らの冗談です。
この二つが共存できるところが面白いのですが(イスラムは偶像を禁止しています)、そもそも資本主義(お金主義)という運動のもっとも特徴的なところは、そのあたりの曖昧さかもしれません。プロテスタント=ビジネスマン文明が古代ギリシア・ローマを「我らが偉大なる古典」と呼ぶのも、資本主義的曖昧主義かもしれません。
しかし、彼らはイスラムからの多大なる科学的恩恵をどのように捉えているのでしょうか。気になるところです。
そうして考えると、「我らが古典」となるかどうかは、文化等の系譜よりも、「現在的思想傾向」(とそれに伴う曖昧な解釈)に因るように思うのですが、いかがでしょうか。そして、ここには宗教的なるものは絡んでいるのでしょうか。さらに、その点、中国の人々は、中国文明のことをどう捉えているのでしょうか。興味が噴出してしまいました。

投稿: 足踏堂 | 2007年9月 6日 (木) 01時10分

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