現代思想11月号臨時増刊号「総特集マックス・ウェーバー」青土社(2007年)(ver1.1)
本屋でたまたま目撃してしまい、買ってしまった。優先順位の高い事が他にあると言うのに・・・。
まだ、ほんの一部にしか眼を通せてないが、早速「これは」という収穫があったのでアイデアがらみのメモ程度だが記録しておこう。
小谷汪之 「ウェーバーの比較社会学と歴史研究 アジア=インド認識を通して」pp.46-60
要するに、ウェーバーのインド論は、その国制を「土地所有権」から理解していたが、それは西欧中世史的偏向(bias)である。前植民地期インド社会は、その正規の構成員すべてが、それぞれのワタン(=株)をもち、これらのワタン所有者(ワタンダール)たちの間に取り交わされる諸関係が社会関係の機軸をなしているような社会(p.56)、だったのである。
この指摘は、日本中世、近世の国制を理解するときにもただならぬ影響を及ぼす。つまり、日本中世史、近世史研究において、国制史的研究をする法制史家たちはことごとく、ドイツ国法学、ドイツ国制史の訓練、教養を身につけた人々(端的に言えば、東大法学部の法制史系統の人々)であり、明らかに西欧中世史的な土地所有権(構造)をモデルとして日本中・近世を比較史の視角からその異同を検討することで、日本中近世史の国制史的独自性を分析して今日に至っているからである。
その代表格が、石井紫郎の一連の研究、とりわけ、その論文「近世の武家と武士」(岩波・日本思想大系27巻『近世武家思想』
所収)である。近世徳川の国制を総体として見事に描ききった記念碑的論文なのであるが、考察枠組みの基礎にあるのが西欧中世の土地所有権を機軸とする国制であった。
その見事な分析には感銘を受けるのだが、ただどうしても小さな違和感が抜けなかった。こういった比較国制史の場合、「西欧中世」vs.「日本中・近世」という枠組みで、前者に「あって」後者に「ない」もの、を考究するということが不可避だ。この手法は、「一見似てるけど、よく見ると違うもの」を俎上に乗せる時、著しく効果を上げる。
しかし、「ワタン」のようなインドにおいて「当たり前」の観念が、西欧中近世国制史研究においては、分析の道具立てとして準備されてない場合、先の研究枠組みを踏襲する限り、西欧に「あって」、日本に「ない」ものは発見しやすいが、前者に「なくて」後者に「ある」ものを見出すのは、そのままでは難しい。後者用の分析概念を史実から構成しておかなければならない訳だ。
インド社会の構造的特長として小谷が指摘する、ワタン(=株)。それに類比可能な現象が日本中・近世国制史にもあるのではないか、という疑念が沸く。
また、翻って、逆に西欧中近世にも、ワタン(=株)に比定すべき事柄がないのか、ということにも考えが及ぶ。
上記の事は、私の日本近世国制史研究で一つの決着をつけなければならない事だとは思うが、まあ、どう決着をつけるか。
ということで、他の掲載論文を読んで面白そうなものがあれば、また書こう(時間ないけど・・・)。
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