ある書評
下記は、私が勧めて、知人に書評を書いてもらったものである。この人物については、本記事の最後に種明かしをするので、まずは、全文を読んで戴きたい。
書評
戸田山和久『科学哲学の冒険 -サイエンスの目的と方法をさぐる-』NHKブックス(2005年)
********************************************
この本は、主に大学一、二年生向けの「科学哲学」の入門書だ。まず、「科学哲学」という言葉を聞いて、理系の「科学」と文系の「哲学」が一緒になったこの言葉に疑問を持つ、あるいは難しそうだ、とどこか敬遠しがちになってしまうかもしれないが、本書は対話形式で、なかなか読みやすく書かれている。
「科学哲学」とは、大雑把に言えば、「科学という現象を理解しようとする試み」だ。本書では、「目に見えない電子やクオーク等は、科学者達が社会的合意
で作り出したものに過ぎない」という考えの「社会構成主義」や、「見る、聞く等で感じることが出来ないものの真偽は確かめられない」という考えの「反実在
論」等、様々な主張が記されている。しかし、著者は特に「電子やクオーク等の目に見えないものでもあらかじめ存在していて、それらは人々が科学を始める前
から元々存在していた」という考えの「科学的実在論」を主張、擁護しているため、少々中立的でないと感じる部分があるかもしれないが、本書は科学的実在論
を中心に話を進めていく。また、専門用語も出てくるので、多少分かりにくい部分もあるかと思うが、本書は三つの部に九つの章、その中は三十二のまとまりに
分かれていて、その各まとまりの最後にまとめが書かれているので、少し分かりにくい部分があってもそのまとめを見れば理解の手助けになると思う。
また、本書を読んで科学哲学についてもっと知りたくなったときには、巻末に人物、用語の解説や、日米問わずにお勧めの科学哲学に関する読書案内九冊分、さらには科学哲学者達が長い間頭を悩ませ続けてきた問題を二十六問列挙した科学哲学の問題集も付いている。
「科学」と「哲学」の良いところを併せ持った「科学哲学」という言葉にほんの少しでも興味を持ったならば、ぜひともこの本を手にとって、読んでみていただきたい。
**********************************************
上記は、14歳の中学生のもの。語の勘違い一箇所以外は、私の手は一切、加わっていないことを注記しておこう。
| 固定リンク
「書評・紹介(book review)」カテゴリの記事
- 石川 淳「江戸人の発想法について」昭和18年3月/ Jun Ishikawa, “On the Way of Thinking of the People of Edo,” March 1943(2026.04.13)
- From Max Weber to Jacques Barzun(2026.03.10)
- Max Weber から Jacques Barzun へ(2026.03.09)
- Alfred W. Crosby, The Measure of Reality (1997, Cambridge University Press)(2025.10.23)
- アルフレッド・W・クロスビー『数量化革命:ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生』(小沢千重子訳)、2003年、紀伊国屋書店(2025.10.23)
「科学哲学/科学史(philosophy of science)」カテゴリの記事
- Charles Sanders Peirce’s assessment of Hegel (2)(2026.03.15)
- Two approaches to emergence(2026.03.15)
- Machina ex Deus ――《神》仕掛けの《機械》、あるいは《神》と《人》の「とりかえばや物語」(2026.02.24)
- Machina ex Deus: A Machine Made of “God,” or a Tale of Substitution between “God” and “Human Beings”(2026.02.25)
- How Did Proto-Language Emerge?: A Hypothesis Based on Birdsongs and Children’s Play(2026.02.13)


コメント