あのぉー、まちがってる(みたいな)んですけど・・(5・完結)
「 ***** 様 2008年5月26日
このたびはブルーバックス『新装版 集合とはなにか』をお読みいただき、ありがとうございます。
ご指摘の件でございますが、確認したところ、たしかに誤植でございました。申し訳ありません。
次回重版の際には、訂正させていただきます。
今後は、このような誤りのないよう、細心の注意を払って本づくりをしてまいります。
これからも、ブルーバックスをどうぞよろしくお願いいたします。
講談社ブルーバックス出版部 堀越俊一」
私の些末なクレームの意図は、以下のJ.S.Mill大先生の言に尽くされる。
"But the peculiar evil of silencing the expression of an opinion is, that it is robbing the human race; posterity as well as the existing generation; those who dissent from the opinion, still more than those who hold it. If the opinion is right, they are deprived of the opportunity of exchanging error for truth: if wrong, they lose, what is almost as great a benefit, the clearer perception and livelier impression of truth, produced by its collision with error. "
John Stuart Mill, On Liberty(1859), Chapter II: Of the Liberty of Thought and Discussion(第1パラグラフの最後)
私がこのblogで、得手なことも(あまりないが・・・)不得手なことも含めて、取り合えず思ったことを書いているのは、たとえ自分の意見が間違っていても、それを公表することで訂正される機会を得たら、少なくとも自分が誤った意見のままでいる危険を少なくすることができるし、万が一それを外部から観察している第三者にも、そのやり取りが存在しなかったときよりは、そこから幾分かは得ることがあるのではないか、という気軽な気持からである。その意味で、今回の件も自分にとりよい教訓であったと受け止めている。
【追記】訂正するなら、重版といわず、他書のケースでも実施しているように、講談社ブルーバックスのHPで、正誤表をPDFであげたらよいのにな、とは思う。
竹内外史『集合とはなにか』講談社ブルーバックス(2001年)
※この連載記事は完結している。シリーズは下記。
あのぉー、まちがってる(みたいな)んですけど・・(1)
あのぉー、まちがってる(みたいな)んですけど・・(2)
あのぉー、まちがってる(みたいな)んですけど・・(3)
あのぉー、まちがってる(みたいな)んですけど・・(4)
あのぉー、まちがってる(みたいな)んですけど・・(5)←出版社からの手紙
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コメント
m 様
応答が、著しく遅れてしまい、申し訳ありませんでした。2週間連続勤務(休みなし)で、疲労困憊しておりました。抜け殻の休日を過ごし、ようやく心身ともに回復し、いま応答を書いております。
さて、お尋ねの件です。
本書を、本の山から引っ張り出し、本日、半日を割き、p.79の「順序数」の導入から、p.102を再読し、当該の頁箇所(p.102)の記述を確認致しました。頭の中を、数学仕様にフォーマットしないと、p.102だけ読んでもさっぱりわかりませんので。
結論から申し上げますと、p.102、7行目の先頭の式、《2のn乗-2の(n-1)乗》、の記述は、正しい記載かと思われます。理由は以下です。
1)この式の意味は、p.102、L.5~L.6の記述から、「第n段階に出てくる集合の数」です。
2)この「集合の数」とは、p.100、の最下部の段落の「順序数をつくるときに・・・」から開始され、p.101最後の、順序数と集合の図表、までの、順序数をつくる説明を読みますと、
順序数0のときの、集合の数、1個
順序数1のときの、集合の数、1個
順序数2のときの、集合の数、2個
順序数3のときの、集合の数、5個
という、当該の順序数の時に、新たに作ることのできる集合の数(それまでに作られた集合が除かれた数)となっています。
3)したがいまして、ご指摘の該当箇所の式、
《2のn乗-2の(n-1)乗》の意味は、n段階までにつくられるすべての部分集合の数から、n-1段階までに作られる部分集合の数を減ずる式、と見做せます。
4)実際に、この《2のn乗-2の(n-1)乗》の式に、n=順序数を代入して計算しますと、
順序数1、1個
順序数2、2個
順序数3、5個
順序数4、8個
となります。
5)付言しますと、本書p.79、L.6に、
「空集合φから始めて、今までにつくってきた集合全体の集合を次々とつくってゆき、この操作を限りなく繰り返してゆく、この過程にできる集合を順序数といいます。」
とありますように、《順序数》とは言いましても、《数》というよりは《集合》のことを指しますので、ご注意ください。
6)私も数学の専門家ではありませんので、
上記の回答が正しいとは断言できません。
念のため、下記の講談社HPまで問い合わせされることを老婆心ながらお勧めします。
お問合せ | ブルーバックス
https://gendai.ismedia.jp/list/inquiry/index.html
投稿: renqing | 2021年9月 2日 (木) 18時03分
m 様
コメントありがとうございます。
さて、お尋ねの件ですが、
1)明日(というか今日ですが)から塾の夏期講習が始まる、という bad timing であること、
2)肝心の竹内外史『新装版集合とはなにか』が「本に溺れて」しまい、すぐにはアクセスできない、
この2点から、ご指摘の問題それ自体を俄かには確認できません。私の手に余る問題かも知れませんが、それさえも今わからない状態です。本の現物があれば、「手に余る」かどうかぐらいは判断できると思いますので、しばらくお時間の猶予を頂きたくお願い申し上げます。
投稿: renqing | 2021年7月21日 (水) 02時06分
別件です。
間違いと思われるのがあるのです。
新装版 集合とはなにか 2008年10月1日第7刷発行
P102 7行目の先頭の式
2のn乗-2のn-1乗
が間違った式であると思います。
自分は
2の(2のn乗)乗-2の(2のn-1乗)乗
ではないかと思います。
自信はないのですが,私が間違っていたら,教えてください。よろしくお願いします。
投稿: m | 2021年7月20日 (火) 23時17分