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2010年3月

2010年3月31日 (水)

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(3)

(2)より

■儒者とソフィスト

「 しかし、儒者風情が統治に口を出せば、本流の武士からは反撥が出る。「儒者料簡」という語がある。儒者にありがちな、理屈は通っているようだが実行すれば有害な思いつきと言うほどの意味である。日本の儒者は、そのような視線が向けられていることを意識せざるをえなかったのである。

 このような儒者の社会的在り方は、知識人の社会的存在形態として、世界史的に珍しい。これは、多くは都市に住む、不安定で特殊な職業としての、世俗的な知識人である。官僚でも地主でもない点で、明・清の士大夫や朝鮮の両班と異なる。その存在を支える組織がない点で、欧州の大学教師とも異なる。一方、貴族の庇護の元に秘書・顧問として生きる以外に、町で塾を開き、その授業料で生きることも可能だった点で、欧州近世の知識人とも違う。」本書、p.97

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どっこい、デコは生きている、など

1)【動画】ランパード4ゴール!チェルシー×アストン・ヴィラ 2010年3月27日

■マルダの3点目

 デコがバルセロナからチェルシーに移籍していたことは何となく記憶していたが、その活躍については関心がほとんど薄れていた。しかし、どっこい名手デコは生きていましたね。チェルシーの中盤の底あたり、攻撃のビルドアップするボランチと言うのか、そこでしっかり生きていた。57分のマルダの3点目が象徴的。

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2010年3月30日 (火)

支配の事実か、事実の支配か

 私はここ十年くらい「明治維新」は、薩長の軍事力による暴力革命政権であり、正当性の根拠は皆無、と考えてきました。そして、司馬遼太郎のような「明治」への懐メロ礼讃は、所詮、戦後の自民党一党独占政権と高度成長を正当化するイデオロギーとしてしか働かないと思っていました。

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メッシのゴールなど・・

1)【動画】メッシ3ゴール!バルセロナ×バレンシア [09/10] 2010年3月14日

■メッシの2点目
 この試合、メッシのハットトリックでバルセロナの一方的試合のように見えるが、実はそうでもない。そもそも試合が動いたのは後半から。メッシがドリブルでバレンシアDF陣を切り裂いた1点目が56分。その10分後には、バレンシアのFWジギッチがセンターサークルあたりから絶妙のタイミングで飛び出し(無論オフサイドなし)、ほぼゴール正面でバルサのGKバルデスと1対1を作り出していた。この決定機でジギッチが決めていれば、試合は振り出しに戻り、その後どうなっていたかはわからない。ま、確かに名手バルデスが狡猾で、ジギッチの股抜きを予想して、隙を見せて股抜きを誘いながら、ジギッチが注文通りバルデスの股を狙ってきたところをまんまとシュートを足で弾いてしまったのは、う~むという感じだ。が、それにしてもペナルティエリアのほぼ正面で、エリアに入ってすぐのところ、バルデスとの対人距離も余裕があったのだから、フェイントを入れさえすれば、一発でバルデスの体勢は崩れ、あとは無人のゴールに流し込むだけだったはず。それが出来なかったことが、このゲームの方向を決めてしまったと思う。69分のバレンシアMFマドゥロのメッシへのファウルと退場も、ジギッチの得点があれば、無くて済んだものかもしれない。この日のバレンシアの戦犯はジギッチだろう。

 ま、それはいい。とにかくメッシの2点目。左サイドのアンリからサイドチェンジの長い正確なパスがメッシに届く。この時点で、バレンシアDFラインは3人揃っていた。そしてメッシにはバレンシア左SBが迫る。メッシはこのロングパスに対する見事なトラップで、まずアプローチしてきたバレンシア左SBを置き去りにし、得意の右から中央への切れ込みながらのシュートをゴールファーサイドへ狙いすまして打ち込んで2点目。この日のアンリは前半にもメッシへ決定的なラストパスを送っていたし、コンディションも徐々に上がっている様子。このメッシのゴールは、なんと言っても、アンリからのサイドチェンジのロングパスを受けたトラップでほぼ決まり、だろう。つくづく攻撃的なボールコントロールの基本はトラップだと再認識した次第。

2)【動画】バルセロナ×シュツットガルト[CL] 2010年3月17日

■メッシの2点

 11分のメッシのゴール。ヤヤ・トゥーレから、ハーフウェーライン少し敵陣に入った、中央よりやや右寄りでパスを受けたメッシ。またしても大好きな右から中央への切れ込み。シュツットガルトDFラインの前をやや平行気味にドリブル。そこに敵DFが密集して来るが、ゴールポスト左の正面あたりまで切れ込むと、満を持してズドンと左足を振りぬく。ボールはまっすぐ飛び、ゴール左上隅に決まる。大柄で屈強なシュツットガルトDFが4人も密集してきたのだから、ゴールをはっきりと視認してるとも思えないのだが、ドンピシャでゴール枠にシュートを打てているのは、ゴールの位置・方向を体が覚えているからか。

 60分のメッシ2点目。右サイドを駆け上がるペドロ。ゴールライン付近まで持ち込み、ここでマイナスのパス。それをダニエウ・アウヴェスが巧に右足ヒールを使って横に流し、ゴールほぼ正面で待ち構えていたメッシへ。メッシはゴールを背にしてボールを受け、ゴールに対し平行にニ、三歩左へ移動しつつ、左足を振り抜き、ゴール。その間、ゴールは全く見ていない。体全体の感覚でゴールの方向を認知できているからだろう。お見事。それにしても、お膳立てたダニエウ・アウヴェスのヒールパスが格好よかった。

 ついでいうと、89分にボージャンがゴールしているが、これは、センターサークル付近からの絶妙のイブラヒモヴィッチのスルーパスを受けてGKとの1対1を制していれたもの。イブラのアシスト能力の高さを示した。この場面は、全く、バレンシアのジギッチと同じ。ジギッチはしくじり、ボージャンは決めた。同じバルカン出身だけど、この違いはなんだ?

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2010年3月28日 (日)

「石高制」ってなに?(補遺)

 関連した著作の紹介をネット上で見つけたので、書いておく。

 版元の岩田書院のサイト上の書評紹介である。

菊地 仁著『近世田租法の研究』
評者・菊地松秀 掲載誌・北鹿新聞(99.10.26・28)
<江戸時代「高」は年貢であった>

*以下は、私の過去記事

「石高制」ってなに?
「石高制」ってなに?(2)
「石高制」ってなに?(3)
「石高制」ってなに?(4・結語)

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レミオロメン 『ether エーテル』 (2005)

 楽曲もよいが、名曲「3月9日」も含め、全編に流れる藤巻亮太の詞が効いている。控えめな率直さ、というか。

レミオロメン 深呼吸 - YouTube

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2010年3月27日 (土)

ひとつの徳川国家思想史(8)

「三 朝幕関係の推移と中期の思想的動向」

■大政委任論の系譜(p.66)

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2010年3月26日 (金)

イブラとボージャン(バルセロナ×オサスナ)

 内容、結果は下記をご覧下さい。

【動画】バルセロナ×オサスナ[09/10]:YouTubeサッカー動画!【無料】

 で、バルセロナの得点者をみると、こうある。

73' [1 : 0] ズラタン・イブラヒモヴィッチ   
89' [2 : 0] ボージャン・クルキッチ

 イブラとボージャン。この二人は、年齢、プレースタイルなど随分異なる。しかし、特別なところで共通点がある。それは彼らの父母(または父)が、バルカン半島にかつてあった、旧ユーゴスラビア出身者だということ。

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2010年3月25日 (木)

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(2)

(1)より

 ちょいと感想など。

■第二章 武士たちの悩み

 本書p.33に、日本列島における戦国時代の終結が、ホッブズの言う社会契約によるものではなく、最強者の支配として実現したことが記されている。

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2010年3月24日 (水)

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(1)〔PDFファイルを添付20180214〕

 待ちに待った本。しかし、読むとどうも様子が変だ。なんと言うかどこか拍子抜けの印象を受ける。これが序章、第一章を読み終えての今の感想。

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2010年3月22日 (月)

CSKAモスクワ vs. ディナモ・モスクワ〔寸評〕

結果はスコアレスドロー。

■本田、ジャゴエフ、共存テスト失敗

 CSKAモスクワのレオニード・スルツキーは、故障から復帰した才能溢れる攻撃的MFジャゴエフをトップ下に、本田を左MFにまわす布陣を敷いた。ただ残念ながら機能しなかった。

 従って、CSKAモスクワは有効なオフェンスを組み立てられず、必然的に終始ディフェンスに追いまくられる結果となった。スコアレスドローに終えられたのは、偏にディナモ・モスクワの決定力不足と、シュートがことごとくゴールポストやバーに嫌われるという僥倖ゆえである。よくまあ得点されなかったものだ。

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2010年3月19日 (金)

三島由紀夫『潮騒』(1954年)〔結語〕

 かつて網野善彦は、列島の歴史上、1960年を境に大きく社会の構造が変わってしまった、と発言した。それはすなわち高度成長という現象が、この列島のうえに生を営む社会を変えてしまったことを意味している。

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CSKAモスクワ vs. セビージャ〔承前〕

 CSKAモスクワTVによる、帰りの飛行機内での本田のインタビュー(本田は英語で応答)をご覧になりたい方は下記リンクを辿られたし。(それにしても、旅客機もテレビ局も持ってるって、CSKAモスクワって、すげー軍産複合体! 機内で枕投げやってるし。)

CSKA. Professional football club.

*上から4番目の Interview of Keisuke Honda のビデオをクリックしてください。

 スポーツナビで、スペインサッカーの木村浩嗣氏が今回の試合のより深い分析と本田評価を書いてくれているのでご紹介する。詳細は、下記のご本人の記事をご覧戴きたい。

 私が言いたいのは、スポーツにおけるスピードの話。

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2010年3月18日 (木)

三島由紀夫『潮騒』(1954年)〔承前〕

 今回読み直してみて面白かったことは二つある。

 一つは、新治とのことが変な形で父親に露見してしまい会えなくなった初江が、手紙を新治の漁船の親方に預けたとき、海の上で新治が読み終えた後、その親方が初江の手紙を音読する場面。

 これは、かつてある世代以上の人々は、実は文字を黙読する習慣なぞ持っておらず、音読する習慣をもっていたことを如実に表している。

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CSKAモスクワ vs. セビージャ

 本田圭佑の1アシスト、1ゴールの活躍で、CSKAモスクワは、UEFAチャンピオンズリーグのベスト8に進んだ。

 詳細なマッチ・レポートは、下記UEFA公式サイト(日本語版)をご覧いただきたい。

UEFA.com - UEFAチャンピオンズリーグ 2010 - Sevilla-CSKA Moskva

 また、動画なら下記が便利。

【動画】本田圭佑FKゴール!セビージャ×CSKAモスクワ[CL]:YouTubeサッカー動画!【無料】

 概要は、上記のマッチ・レポートとダイジェスト動画で十分だろう。

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2010年3月15日 (月)

三島由紀夫『潮騒』(1954年)

 

三島の『潮騒』を初めて読んだのは、小学校の高学年か(小学六年生?)。

 今は亡き父が出版社に予約をしてくれた、小学館カラー版少年少女世界の文学、という全集ものの中に、日本編というのがあり、その日本5だとかいう巻に収録されていたと思う。このシリーズはカラー版と銘打つだけに、水彩画タッチの上品な絵が挿入されていた。

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中孝介『ユライ花』(2007年)

 中( あたり )孝介の歌は「波」である。それも南の島の、遠浅の渚に打ち寄せる、数千キロかなたの太平洋の向こうからたどり着く、小さく白く泡立つ「波」。聴き手は中の、その「波」に乗ればよい。

 それぞれ皆、聴けるが、私の一押しは、ヒットした「花」ではなく、メジャーデビューとなった「それぞれに」。一番、彼の「波」に共鳴していると感じた。「Ave Maria」は面白い試み。

 下記 amazon のリンクから、全曲の触りが試聴できるので、一度聞かれてみることをお薦めする。

中孝介『ユライ花』(2007年)
1. 花    
2. サヨナラのない恋    
3. それぞれに    
4. 波の物語    
5. Goin'on    
6. Ave Maria    
7. ひとさし指のメロディー    
8. 真昼の花火    
9. 恋の栞    
10. 思い出のすぐそばで    
11. 星空の下で    
12. 家路(piano ver.)

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