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2011年4月

2011年4月30日 (土)

El Clásico に見るゲーム・コントロールとゲーム・マネジメント(2011.04.27)

Real Madrid 0 - 2 Barcelona

 このゲーム、あまり気持ちのよいものではなかったようだ。

 「ようだ」というのは、このエル・クラシコを90分間見ていないので。ただ、下記リンクのロング・ダイジェスト(30分間)を覗いただけでも、ゲームの雰囲気はだいたい掴める。

 要するに、両チームとも、The Laws of the Game 云々という次元ではなく、担当するレフェリーの笛さえも、自チームを有利にするために徹底して利用し、このゲームに必ず勝利する、という構えな訳だ。

 このゲームには、世界最高クラスのテクニック、スピードを持ち、レフェリングまで利用しようとする、ずる賢い22人がいた。選手にも審判団にも異様なプレッシャーのかかる、こういう非常に難しいゲームが素晴らしいものになるかどうかは、レフェリーが(概ね許容範囲の)果断で妥当な笛を、どこまで一貫して吹けるかに左右される。

 そこからすれば、この夜のドイツ人レフェリーは、こういった海千山千の魑魅魍魎がうようよしているゲームを担当するには不向きだったような気がする。中立国出身と能力を加味してUEFAから任されたのだろうが、今回はこういうタイプのゲーム経験が豊富な南欧系のリーグ審判団から選んだほうが適切だったのではないか。

 フットボールのゲームとして、辛うじてコントロール出来ていたかもしれないが、良いフットボールのゲームとするためのマネジメントには失敗してしまった感は否めない。まあ、そこら中でファウルだの、シミュレーションもどきだのが頻発していて(イエローが全部で6枚、レッドが2枚)難しかったのは承知するが、イエローでさえも、そのレフェリングは選手たちに引き摺り回されていた感じがする。

 問題のぺぺへのレッドのシーン。主審から20mほどのところでファウルが行われていて、主審からその場所までの視角にはケイタやもう1人のバルサの選手がいて、主審がその行為を完全に視認できていたとは言い難い。主審が視認できたのは、ぺぺの足がレイト気味だったこと、およびダニウ・アウベスにスパイクを見せて行った事、だろう。通常なら、深刻なラフプレーと判断されても仕方がない。しかし、ぺぺはこのゲームでまだイエローは呈示されていない。ということは、主審からこのゲームのぺぺのプレーに対し、「今度やったらレッドだよ」という警告を受けるほどの危険性を認められていなかったと言える。また、このゲームでバルサ選手のシミュレーション気味のプレーは既に十分主審は承知していたはずだ。
 ここからは、ゲーム・コントロールの判断というより、ゲーム・マネジメントの判断になる。このレベルのゲームで退場者が出れば、ゲームの帰趨を決してしまうことは考慮に入れていたろう。つまり、ゲームが荒れないよう、イエローを的確にしっかり出して、退場者を未然に防ぐという、事前のレフェリングの基本方針はあったと思う。そうであれば、ぺぺに対しては、まずイエローの判断が優先となる。ダニウ・アウベスの状態の深刻度もまだ不明だからだ。
 そうであれば、イエローを構えてぺぺを主審に位置に呼び出し、繰り返し呼びつけても主審の下へ来ない、という主審への不服従の態度が明らかなら、そこでレッド措置という、明確な2段構えのアクションはあるべきだったように思う。

 その後、ダニウ・アウベスがピンピンしていたので、かえってバルサに「汚い」イメージを押し付けることに結果的に一役買ってしまったのは、UEFA主催のこの大会を成功させる責任を負う審判団として重大なミスと言えるだろう。

【動画】レアル・マドリード×バルセロナ[CL]:YouTubeサッカー動画!

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2011年4月25日 (月)

震災復興基礎所得保障と生活再建のための現物支給を政府に要求する院内集会

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震災復興基礎所得保障と生活再建のための現物支給を政府に要求する院内集会
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3・11の震災は、地球規模で多くの人々にショックを与えました。

ユニオンの被災者の生の声をもとに有志による「基礎所得保障と生活再建の
ための現物支給を政府に要求する院内集会」を開催します。

要旨は被災者に早急に無条件・個人単位による基礎所得保障を支給し、医療
保障、住宅、被災孤児、児童、高齢者、障がい者、ひとり親、女性、セクシャ
ルマイノリティ、在日外国人等に迅速・適切な支援を求めるものです。
また原発で働く労働者への補償と被災者の雇用政策を要求します。

最終的には日本全域に基礎所得、社会保障の充実を求める集会です。

■日時と会場
●4月27日(水)11:30~13:30
●参議院会館B109(地下1F奥)
  http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kokkaimap.htm
  ※ 会館入口で通行証を配布します。

■プログラム
●11:30~13:30 院内集会
●14:30~16:30 フリートーク&交流会の予定(同じ会場)

■発言者(参加国会議員の紹介は随時、行ないます)
●佐々木淑子(福島県・郡山市被災者、ケアマネジャー・看護師・
  認知症グループホーム建設中に被災)
●岸本聡(全建総連・釧路建設ユニオン書記長)
●山森亮(同志社大学教員)
●佐藤昌子さんからのメッセージ代読(パナソニック派遣切り裁判元原告、
  郡山市被災者…予定)
●白崎一裕(反貧困ネットワーク栃木・共同代表・栃木県北にて被災)
●他、関東の被災者の発言(交渉中)
●鎌仲ひとみさん「ヒバクシャ」(監督)からのメッセージ
●アジア・アフリカ、ヨーロッパからの連帯、応援メッセージ
●司会と発言
  白崎朝子(安全な労働と所得保障を求める女性介護労働者の会)

■主催と連絡先
●震災復興基礎所得保障等を政府に要求する実行委員会
    安全な労働と所得保障を求める女性介護労働者の会
    ベーシックインカム・実現を探る会
    反貧困ネットワーク栃木
    ほか
●連絡先
  tel.090-6177-4013
  astrum-animus.sue@ezweb.ne.jp
●詳細情報
  ベーシックインカム・実現を探る会HP
  http://bijp.net/newsinfo/article/251
  PDF版フライヤー(白黒なのでFAXに便利)
  http://bijp.net/site01/files/pdf/2011/20110327BW.pdf

■USTREAM配信情報
●以下のアドレスにてUSTREAMリアルタイム配信を行う予定です。
  http://www.ustream.tv/channel/basic-income1

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Feyenoord 3 - 1 PSV (April 24, 2011)

 久しぶりのフットボールネタ。

 とりあえず、宮市亮君所属のフェイエノールトが、憎きPSV*(前節、エールディビジ首位)を、ホームで3対1で粉砕しました。宮市君フル出場を果たしていますが、ノーゴール。アシスト等、このゲームでの貢献の詳細は不明。

 3点の内訳は、ヴァイナルドゥム2点、カステグノス1点となっています。ただ、宮市は前節で2ゴール、2アシストを挙げてますので、当然、PSVのDFからマークされるわけで、その分、味方の攻撃陣を楽にしていることは間違いないでしょう。終盤に、シュートチャンスはあったようですが、きめ切れなかった模様ですね。

*何故なら、奇しくもちょうど半年前の、2010年10月24日(日)に、0対10、という歴史的大敗(退廃?)を喫しているからです。

F ジョルジニオ・ヴァイナルドゥム(前半27分)
P オラ・トイヴォネン(後半15分)
F ジョルジニオ・ヴァイナルドゥム(後半18分)
F ルク・カステグノス(後半34分)

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2011年4月18日 (月)

勝田有恒/山内進編著『近世・近代ヨーロッパの法学者たち ―グラーティアヌスからカール・シュミットまで― 』ミネルヴァ書房(2008年)

 51rsanyctl 日本における西欧理解の水準を引き上げる素晴らしい書である。

 すなわち、現代世界の思想的・制度的枠組である「近代」は、ほぼ19世紀以降の西欧世界が他世界に提供した(押し付けた?)ものが模範枠組となっている。そしてその西欧世界の骨格を形成しているのが「法 law - recht - droit」という仕組みである。だから、その西欧における「法」理解を深める書籍は、我々の西欧認識を一段と引き上げ、その構造的理解を奥行き深いものとするのである。

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2011年4月11日 (月)

大震災と経済学

 2011年3月11日午後、東日本太平洋岸を巨大地震と巨大津波が襲った。そして一ヶ月が経過した。

 その後の経済の様子を観察していると一つ気付くことがある。それは、モノ(=財)はあり、カネ(お金の裏打ちのある需要)もあるのに、そこにモノが届かないため、経済の循環に変調を来たしたことである。

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2011年4月 4日 (月)

この最後の者にも

Ruskin, John, 1819-1900.
Unto this last : four essays on the first principles of political economy (1862)

 中公の『世界の名著』に収められていた「この最後の者にも」を、ある読書会で読んだのは、かれこれ20年ほど前だ。2011年3月11日を知った今だからこそ、読むに値するはず。

 震災後の復興構想に、BI(基礎所得保障)を据え、その財源には復興国債の日銀直接引き受け(ないし政府通貨)を主張するアイデアがある。下記。

震災被災者にベーシック・インカムを - 作品一覧

 そこで引用されていた新約聖書の一節にあるのが、「この最後の者にも」である。確かに、経済学として巷間に溢れるテキスト類とは全く異質の思想だが、《生きるための経済》を考えなくてはならない現在、緊急に検討すべきだろう。

 国債の日銀直接引き受けに関して、「中央銀行の独立性」の侵犯などとしたり顔で批判する御仁が多くいる。しかし、そういう手合いは、その代表例で あるイングランド銀行などは、そもそもその設立が、軍事費調達のための、実質的に王国政府の機関銀行として発足していることを知らない。また、米国FRB が実は巨大銀行や巨大証券会社のカルテル組織であり、その金融業界の利益代表であることにも注意を払わない。こういう薄馬鹿な手合いの話をありがたがって 聞く連中は、馬鹿の二乗=(馬鹿)2 以外の何者でもない。《生きるための経済学》が緊急に必要な理由だ。

ジョン ラスキン この最後の者にも・ごまとゆり (中公クラシックス)

HTMLテキストなら→Unto this last : four essays on the first principles of political economy

PDFファイルなら→unto_this_last.pdf (application/pdf オブジェクト)

〔参照:弊ブログ関連記事〕
伊藤邦武『経済学の哲学 -19世紀経済思想とラスキン- 』中公新書(2011年)
経済学の第一原理 = Pure Air, Water, and Earth (John Ruskin)

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