El Clásico に見るゲーム・コントロールとゲーム・マネジメント(2011.04.27)
Real Madrid 0 - 2 Barcelona
このゲーム、あまり気持ちのよいものではなかったようだ。
「ようだ」というのは、このエル・クラシコを90分間見ていないので。ただ、下記リンクのロング・ダイジェスト(30分間)を覗いただけでも、ゲームの雰囲気はだいたい掴める。
要するに、両チームとも、The Laws of the Game 云々という次元ではなく、担当するレフェリーの笛さえも、自チームを有利にするために徹底して利用し、このゲームに必ず勝利する、という構えな訳だ。
このゲームには、世界最高クラスのテクニック、スピードを持ち、レフェリングまで利用しようとする、ずる賢い22人がいた。選手にも審判団にも異様なプレッシャーのかかる、こういう非常に難しいゲームが素晴らしいものになるかどうかは、レフェリーが(概ね許容範囲の)果断で妥当な笛を、どこまで一貫して吹けるかに左右される。
そこからすれば、この夜のドイツ人レフェリーは、こういった海千山千の魑魅魍魎がうようよしているゲームを担当するには不向きだったような気がする。中立国出身と能力を加味してUEFAから任されたのだろうが、今回はこういうタイプのゲーム経験が豊富な南欧系のリーグ審判団から選んだほうが適切だったのではないか。
フットボールのゲームとして、辛うじてコントロール出来ていたかもしれないが、良いフットボールのゲームとするためのマネジメントには失敗してしまった感は否めない。まあ、そこら中でファウルだの、シミュレーションもどきだのが頻発していて(イエローが全部で6枚、レッドが2枚)難しかったのは承知するが、イエローでさえも、そのレフェリングは選手たちに引き摺り回されていた感じがする。
問題のぺぺへのレッドのシーン。主審から20mほどのところでファウルが行われていて、主審からその場所までの視角にはケイタやもう1人のバルサの選手がいて、主審がその行為を完全に視認できていたとは言い難い。主審が視認できたのは、ぺぺの足がレイト気味だったこと、およびダニウ・アウベスにスパイクを見せて行った事、だろう。通常なら、深刻なラフプレーと判断されても仕方がない。しかし、ぺぺはこのゲームでまだイエローは呈示されていない。ということは、主審からこのゲームのぺぺのプレーに対し、「今度やったらレッドだよ」という警告を受けるほどの危険性を認められていなかったと言える。また、このゲームでバルサ選手のシミュレーション気味のプレーは既に十分主審は承知していたはずだ。
ここからは、ゲーム・コントロールの判断というより、ゲーム・マネジメントの判断になる。このレベルのゲームで退場者が出れば、ゲームの帰趨を決してしまうことは考慮に入れていたろう。つまり、ゲームが荒れないよう、イエローを的確にしっかり出して、退場者を未然に防ぐという、事前のレフェリングの基本方針はあったと思う。そうであれば、ぺぺに対しては、まずイエローの判断が優先となる。ダニウ・アウベスの状態の深刻度もまだ不明だからだ。
そうであれば、イエローを構えてぺぺを主審に位置に呼び出し、繰り返し呼びつけても主審の下へ来ない、という主審への不服従の態度が明らかなら、そこでレッド措置という、明確な2段構えのアクションはあるべきだったように思う。
その後、ダニウ・アウベスがピンピンしていたので、かえってバルサに「汚い」イメージを押し付けることに結果的に一役買ってしまったのは、UEFA主催のこの大会を成功させる責任を負う審判団として重大なミスと言えるだろう。
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