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2011年5月28日 (土)

川端康雄著『ジョージ・ベストがいた マンチェスター・ユナイテッドの伝説』平凡社新書(2010年)

■Maradona Good, Pele Better, George Best.

 ジョージ・ベストという1960年代のイングランド・フットボールのスーパースターや、ファギー以前のマンUを知るのに格好の書。また、フットボールを通じて、イングランド(というかUK)を理解するにもピッタリの本である。

 フットボールというスポーツが元来労働者階級に担われていたことがよくわかるのは、選手への報酬の支払い方。今でも、プロのフットボーラーたち は、その賃金を週給で貰っている。これは、月給で支給されるホワイトカラーと週給で支給される労働者の違いを反映しているわけだ。

 先日のバルサ対マドリーのCL準決勝セカンドレグ後、アデバヨールが「バルサのプレーヤーは女のようにすぐ倒れる」みたいなことを言ったのは、アデバヨールがプレミアのカルチャー(男であること=強さ=労働者階級のカルチャー)に染まっているからだ。

■ジョージ・ベスト、って?

 そのプレーぶりの格好良さは、なかなか文だけでは分かりにくい。下記のダイジェスト動画を見て欲しい。


  左右の足から繰り出される、その切り返しの鋭いこと。またタックルされてもなかなか倒れないボディ・バランスのよさ。ゴール前の敵守備陣の密集を嘲笑う、フワッと浮かせたシュートのイマジネーション。うーん、確かに見ていて嬉しくなるプレーヤーのようだ。

■ついでに 2011.05.28. のマンUvs.バルサの予想

 ベストメンバーがベストパフォーマンスを出すとすれば、バルサがたぶん現時点で地球上最強のクラブだろう。しかし、その油のささった素晴らしく機能的な精密機械ぶりが、90分間ずっと発揮し続けることは、残念ながら滅多に無い。

 恐らく、1シーズンを通じた平均的なチーム・パフォーマンスはマンUがバルサを上回るだろうが、バルサの「この一戦」というものに対する集中力の持って行き方は並外れている。とすれば、CL決勝戦はそのベストパフォーマンスを発揮するに相応しい場だ。

 ということで、このゲーム、バルサ優位とみる。予想スコアは、

 マンU 1点(ルーニー or チチャリート)
 バルサ2点(イニエスタ and メッシ)

か。

川端康雄著『ジョージ・ベストがいた マンチェスター・ユナイテッドの伝説』平凡社新書(2010年)
目次
序章 ジョージ・ベストの葬儀の日
第1章 ベルファストの少年―一九四六‐一九六一年
第2章 バズビーの子どもたち―一九五八‐一九六三年
第3章 少年ベスト、輝く―一九六三‐一九六五年
第4章 「エル・ビートル」の魔法の夜―一九六五‐一九六六年
第5章 バズビーの聖杯探求―一九六六‐一九六七年
第6章 聖杯の成就―一九六七‐一九六八年
第7章 ベスト、ユナイテッド、崩れる―一九六八‐一九七四年
終章 ピッチへ、歓声のなかへ

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コメント

fearon さん

コメントありがとうございます。
私は正直言いまして、どちらが勝っても構わないのです。ただ、事実に基づく予想をしてみると、バルサかな?、と。

ただ、バルサの強さは、一時的なものです。恐らく、シャビが衰えてくると、バルサ・マシーンは油切れの機械のように、徐々に機能不全を示し出すでしょう。その時でも、マンUは現状の強さを維持し続けているだろうと思います。そこがファギーのすごいところです。

投稿: renqing | 2011年5月29日 (日) 02時17分

ルーニー退場の大荒れを期待しておりますよ!!
それでもマンUが勝ちます!

投稿: fearon | 2011年5月28日 (土) 17時33分

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