東京大停電の可能性は(たぶん)ない
昨日、以下のニュースに接した。
浜岡原発:停止要請 各電力会社は「余波」を警戒 - 毎日jp(毎日新聞)
記事中にこういう文言があった。
国内の商業炉の設備容量は計4884.7万キロワットと、発電設備全体の約17%を占めるが、定検中の原発の再稼働が遅れれば、全国の原発の8割超が一時停止しかねない。
そこで、本当にすべての原発が運転を停止したら、ニューヨーク・カナダ大停電(2003年8月14日、5000万人に影響)のようなことが起きるのか、実際にデータを使って計算してみることにした。
使用するのは、下記の公表データ。
にある、
電気事業のデータベース(INFOBASE) ) - 電力データ
の、INFOBASE 2010、という資料(PDFファイル)。
そこから数字を抽出して計算し、表にしたものが下記。
A=最大出力(10電力計、2010年3月末、kW)
B=原子力発電の最大出力(10電力計、2010年3月末、kW)
C=原子力発電を除く最大出力(10電力計、2010年3月末、kW)
D=最大電力(10電力計、2009年、kW)
E=原子力発電を除く発電による夏季最大電力の充足率(%)
A | B | A-B= C | D | C÷D×100= E |
203,970,022 | 48,847,000 | 155,123,022 | 155,120,000 | 100.002 |
上記からとりあえず、以下のことは結論できるだろう。
発電設備能力からすると、原発をすべて停止しても、ぎりぎり夏場の最大電力に間に合う。
それにしても、これは数字が合いすぎる気がする。電力業界(=電気事業連合会)にどのような意図があるのか。再考する価値はありそうだ。
〔リンク追加〕
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コメント
投稿して戴いた方、ありがとうございます。
私の議論は、極めてラフで粗っぽいものですが、とにかく日本全国のトータルでどうなのかは、見当がつくと思います。
こういう議論は、マクロで長期の視点から徐々にミクロなところへ下ろしていかないと、本筋を見失ってしまったり、ミクロの局面を滔々と述べたてる「プロ」に騙されたりします。
少なくとも、意図的に広められた「常識」を疑いを持つことに、こんな記事でも多少の貢献ができれば、幸いです。
投稿: renqing | 2011年5月24日 (火) 01時16分
これは私も興味深く思い、下記サイトなども参考に考えてみたことがあります。
http://ameblo.jp/yukino0224/entry-10884186425.html
細かく見ていくと、北電での電力需要のピークは1月であるなど電力会社ごとの事情も考慮する必要があると思いました。
しかし揚水発電や、企業がもつ大規模自家発電設備などの「埋蔵電力」を含めることができれば意外と大丈夫のようにも思えます。
▼使えない「埋蔵電力」、東電の供給量に匹敵
http://logsoku.com/thread/hatsukari.2ch.net/news/1305457916/1-100
▼まだある?「埋蔵電力」
http://www.youtube.com/watch?v=rBBpGKSmaD4
投稿: | 2011年5月23日 (月) 14時11分