Spain 4 - 0 Italy (Final,EURO 2012) 寸評
ゲーム開始の両国のフォーメーションを聞いたとき、特にイタリアの4バック採用を聞いたとき、スペインの大量点差による勝利をチラッと予想した。
そうしたら案の定、その通りになっちゃった。
本ブログでの予想では当然と思って書いていなかったが、私はグループLで機能した3バック(3-5-2)で、プランデッリがスペインとのファイナルに臨むものだと思い込んでいた。ところがふたを開けてみると前日会見どおりの4-3-1-2。
グループLの緒戦のイタリアの3バック(というか5MF)は、けが人のための苦肉の策だったかもしれない。しかし、これが当った。にもかかわらず、決勝では4バック(というか4MF)。これでスペインにいいようにやられてしまった。
このことから気付くことは、スペインの偽9番とか揶揄されたゼロ・トップとは、実はCFを置かないということではなく、MFを6人置く(4-3-3)ということに狙いがあった、ということ。つまり、中盤を完全に制圧し、相手の攻撃機会を出来る限りゼロに近付ける、というアプローチと解釈できる。
実際、今回のユーロでのスペインの失点は、GL初戦のイタリア戦のディ・ナターレの1点のみ。このスペインのシステムが守備力としていかに強力かが歴然としている。だから、イタリアが苦肉の策とはいえ、MFを5人にし、バロテッリをワン・トップとしてカッサーノも実質的に中盤を動き回っていると、スペインの6MFに対して十分に数的に対抗できたことになる。そのうえで、スペインが調子が上がらず、イタリアは生き生きと全員がピッチを走り回っていた。あのピルロでさえ鋭い読みと迅速な寄せで素晴らしい前線からの守備に貢献していた。だからこそ、スペインは思うようにミッド・フィールドを制御できなかったし、前半はことごとくセカンド・ボールをイタリアが狩ることができた。
しかし、この苦肉の策は、中盤両サイドのプレーヤーの消耗が著しい。イタリアの3バックシステムが対スペイン第一ラウンドの70分あたりから機能しなくなっていたのも止むを得なかった。
だから、このファイナルでプランデッリはひょっとすると3バック=5MFで対抗する腹はあったかもしれないが、直前のドイツ戦から中2日のコンディションで中盤両翼への負担は困難と判断したかもしれない。
さて、それではこの《アルマーダ=無敵艦隊》を打倒するにはどうしたらよいのか。
私もわからん。が、基本はMFの枚数を増やす、だろう。かつ勤勉なフォアチェック。そして何といっても先取点。こちらが疲弊するまえに、2点ぐらい入れて逃げ切る。今のスペインにトーナメントの1ゲームとして勝つ方法としたらこれしかいないような気がする。
ただ、今のスペインもブラジルWC後にシャビが代表から引退することは確実。となると、シャビのように得点は挙げずにひたすら献身的な潤滑油に徹する名手のMFが、いかにスペインとはいえ、おいそれと出現するものなのだろうか、とも思うのね。もし、第二のシャビ・エルナンデスが出て来たら、しばらくスペインの牙城は揺るがないだろう。
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