循環と生成(メモ)
合理性の限界下にある諸個人が複雑な世界において生活を営めるのは、その生きている世界(ないし社会)に定常性(循環性)が存在するからである。
水道の蛇口をひねったら炎が出る。ガスレンジの取っ手を廻したら水が飛び出す。駅までの道を急いでいくと、交差点ですべての車が赤信号で進み、青信号で止まっている。日常世界がある日突然、それまでと異なる日常になってしまったら、実は人間はそう簡単に生きていけない。
朝になれば陽が昇り、JRの快速線のダイヤは順調で、そろそろ暑くなるから春物は徐々に仕舞い、夏物を出さなくちゃ、と考える。例年5月の売上は幾らで、これから夏に向けて需要が伸びる(or減る)から、納入業者にはこう連絡して、ボーナス商戦の会議がもうそろそろあるはずだ。今日は?曜日、Jリーグ中継があるから仕事はなんとか定時で切り上げよう。
日常性が日常として循環しているからこそ、限られた能力しか持たない人間は暮らせる。その一方で、長期でマクロには人間社会は歴史的に確かに変遷してきた。ほぼ同じ一定のリズムで繰り返す世界が何故変化するのか。世界は循環しながら少しずつ結果的に変わっていく。個人が一日一日と微小でも確実に老いて(成長して)いくように。
循環しながら生成変化する歴史。これをイメージするなら螺旋運動か。Giambattista Vico も既に言っているらしいが・・・。図はWikipedia「螺旋」より。
東北大震災時の定常性の破れについては下記を参照。
大震災と経済学
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