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2016年5月18日 (水)

D.ヒューム「市民的自由について」1742年 (David Hume, Of Civil Liberty)

日のもとに新しきものなし

つい先日、意気揚々と掲載した記事と同じ内容を、31歳のヒュームが274年前に論じていた。う~ん、悔しいというべきか、悲しいというべきか。そもそも天からの gift が違うのだろうから、仕方がないか。

Among the moderns, the Dutch first introduced the practice of borrowing great sums at low interest, and have well nigh ruined themselves by it. Absolute princes have also contracted debt; but as an absolute prince may make a bankruptcy when he pleases, his people can never be oppressed by his debts. In popular governments, the people, and chiefly those who have the highest offices, being commonly the public creditors, it is difficult for the state to make use of this remedy, which, however it may sometimes be necessary, is always cruel and barbarous.
David Hume, Of civil liberty, Essays Moral, Political, Literary (LF ed.) (1777年) - Online Library of Liberty

 

近代の国民では、オランダ人がまず最初に、巨額の資金を低利で借入れるとう慣行を樹立しました。そして、この慣行のために財政的には殆ど破産寸前の状態に陥っています。絶対君主も債務を負うということはしています。しかし、絶対君主であれば、その欲するときに、債務を破棄することができます。ですから、彼の負うた債務のために彼の被治者が塗炭の苦しみを舐めねばならぬという事態は生ずべくもありません。民主政体の国々においては、人民が、しかも、主としては、最高の官職に就いている人々が国家に対する債権者であるというのが通例です。それゆえ、時としてはいかに必要やむを得ぬ手段であろうとも、いつ如何なる場合にも過酷で野蛮な手段であることには変わりのない債務放棄というこの手段に民主政体の国家が出ることは困難です。
ヒューム(小松茂夫訳)『市民の国について』(下)岩波文庫1982年 , pp.211-212

〔参照〕
名誉革命=英蘭コンプレックスの出現 (Anglo-Dutch complex)
エントロピーと成長経済

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