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2017年12月 3日 (日)

幕末に列島の植民地化危機はない(2)

 本件に関して、同時代の証言、それも当事者に近い立場の人間の言を一つ引いておきます。

 彼の下ノ関砲撃事件の如きも、各公使が臨機の計ひにして、深きを考ありしに非ず。現に後日、彼の砲撃に与りたる或る米国士官の実話に、彼の時は、他国の軍艦が行かんとするゆゑ、強いて同行したるまでにて、恰も銃猟にても誘われたる積りなりしと語りたることあり。以て其事情を知る可し。
 右の如き始末にして、外国政府が、日本の内乱に乗じ、兵力を用ひて大に干渉を試みんとするの意思を懐きたるなど、到底思ひも寄らざる所なれども、・・・
「瘠我慢の説に対する評論に就て」碩果生(福沢諭吉の口述筆記、明治34年)
 福沢諭吉選集〈第12巻〉 (1981年)(岩波書店)、P.262

〔参照〕幕末に列島の植民地化危機ははい(1)

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