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2018年3月10日 (土)

Max Weberの「浄土真宗」観〔1〕(20180401参照追記)

 随分昔に読んだ、

大塚久雄『社会科学の方法‐ウェーバーとマルクス‐』1966年岩波新書
Ⅲウェーバーの「儒教とピュウリタニズム」をめぐって‐アジアの文化とキリスト教‐

に、気になる言葉があってずっと引っかかっていました。

 ウェーバーがアジアの宗教の中で唯一、プロテスタンティズムとの比較をして論じているのが浄土真宗だ、というのです。そこで今回、他の件でウェーバーのドイツ語原典を調べたので、この機会に大塚の指摘を確認してみることにしました。それが下記。

Im scharfen Gegensatz zu den Zen-Sekten kann die Anfang des 13. Jahrhunderts gestiftete Schin-Sekte wenigstens insofern dem occidentalen Protestantismus verglichen werden, als sie alle Werkheiligkeit ablehnte zugunsten der alleinigen Bedeu-tung der glaubigen Hingabe an den Buddha Amida.(独文p.303)

In sharp contrast to the Zen sects, the Shin sect, founded at the beginning of the 13th century, can be compared to Western Protestantism at least in that it rejected all sanctity of works in favor of the sole importance of believing devotion to the Buddha Amida.(機械翻訳)      

 禅宗と厳しく異なって、十三世紀の初めに設立された真宗は、少なくとも一切の作業神聖視を拒否し、阿弥陀仏への敬虔な献身と専一的意義を強調した限りで、西洋の清教に比較され得る。(深沢宏訳版p.384)

 

また、同じパラグラフにこういう一文もあります。

Amida ist Nothelfer, das Vertrauen auf ihn das allein heilbringende innere Verhalten.(独文p.304)

Amida is the emergency helper, the trust in him the only salvific inner behavior.(機械翻訳)

阿弥陀は救難者であり、これに対する帰依だけが救済をもたらす内面的態度なのである。(深沢宏訳p.385)

 これで長年のつかえがとれた気がします。よかったぁ。そのうち、ウェーバーの宗教社会学の理論的核心である、

Zwischenbetrachtung: Theorie der Stufen und Richtungen religioser Weltablehnung
( Intermediate Reflections: A Theory of the Stages and Directions of Religious Rejections of the World )

については、私の分析を掲載するつもり。ウェーバーの「中間考察」は、人文科学のなかで、最も重要な理論の一つであり、今でも有効なものなので。

〔参照〕(20180401追記)
1.浄土真宗の《予定説》
2.ウェーバーの「浄土真宗」観〔2〕

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